2011年4月号

NI No.441 & NIジャパン No.129

中国経済の奇跡と労働者の憂うつ
Makers of the miracle
- So why are China's workers left out in the cold?

世界の工場として、中国には熱い視線が注がれている。安い賃金と豊富な労働者が支えるその驚異的な生産力と経済成長は、今や世界経済の牽引力となっている。しかし、その世界の工場を支える労働者に光が当たることはほとんどない。過去10年で2億人とも3億人とも言われる労働者が、農村から仕事を求めて都会へ向かった。この農民工とも呼ばれる出稼ぎ労働者の貢献なしに今日の中国は存在しない。だが、彼らは相応な待遇を受けているのだろうか? 労働者の権利はどうなっているのか? 今月のNIでは、労働現場の実情から踏みにじられた労働者の権利を取り戻す運動まで、中国経済の担い手の現実を探る。

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● NI No.441 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。

4 読者の声

6 今月のニュースのタネ
・同性婚合法化10周年(4月1日):全ての愛は平等だが、法の下では不平等という現実。<要約>
・学生たちによる抗議活動「抵抗の春」(4月1日〜30日):世界の学生たちよ、団結せよ!
・国際母なる地球デー(4月22日):「母なる地球よ、あなたはなぜそんなにも悲しそうなのか」
・チャゴス海洋保護区1周年(4月1日):環境保護の方針と元島民が抱えるジレンマ。
・パレスチナ人収容者との連帯を図る国際デー(4月17日):5,000人を超えるパレスチナ人たちが現在イスラエルで拘束されている。彼らは家族の面会もままならない。
・シエラレオネ医療費無料イニシアチブ1周年(4月27日):妊産婦、母乳で子育て中の母親、そして5歳未満の子どもの医療費を無料にしたこの試みがもたらした変化と光明。<要約>
・企業年次総会の季節(4月1日〜30日):企業に対する要望を伝えるため、活動家の動きが活発になる季節。
・20年前のこの月に、NIは何を伝えたか……

12 立ち上がる人々が向かう先
アラブ諸国では、現行の支配体制に変革を求める人々が次々と立ち上がっている。自由と民主的な体制を求める動きは今後どう展開していくのか。


◆特集:中国の労働者

14 経済成長立役者の厳しい現実<翻訳>
躍進する中国経済を支えるのは、農村から都市へと流れ込む出稼ぎ労働者である。だが、彼らの支払う代償は手にする恩恵よりも大きく、もはや我慢も限界に達している。彼らはもう黙々と働くだけではない。状況の改善を求めて声を上げ、直接行動を始めている。

18 中国の労働者 ― その事実<翻訳>
賃金レベルや移住、彼らを取り巻く腐敗や不正義に対する抗議と暴動まで、データで見てみよう。

19 iSlave ― 電子産業の奴隷労働者<翻訳>
iPadやiPhoneの製造も行う台湾企業の中国現地子会社、フォックスコン(富士康)。この世界最大のEMS(電子機器受託生産)企業は、中国国内で100万人以上の労働者を雇っているが、労働強化を図る環境はすさまじく、自殺者も出ている。工場ではいったい何が起こっているのか。

22 正義への困難な道のり<翻訳>
違法な配置転換、工作機械事故が原因の腕の切断、じん肺。3人の労働者がそれぞれ被った被害と理不尽な処遇に対して、労働者としての権利を求めて企業と闘った記録。

24 中国の労働者と連帯するためのサイト
中国では労働運動も緒についたばかり。そんな彼らを支援する国際的な団体と動きを紹介する。

25 団結して犯罪に立ち向かう<翻訳>
ベネズエラのユニークな犯罪者更生プロジェクトについて。

26 米国にとっての「安定」は他国にとっても安定なのか
アラブ諸国で革命的な混乱が起こっているが、米国はこの事態にどう対応して行くのだろうか。中東における米国の役割を考えるには、意識的に封印されてきた真実や考え方に注目する必要がある。出版されたばかりのノーム・チョムスキーPower and Terror: Conflict, Hegemony, and the Rule of Forceからの抜粋。

29 米国で考える
Foreign Policy In Focusの上級アナリスト、マーク・エングラーが、世界の現象と問題を分析する。今月は、触れるのがタブーになっている米軍のコストを社会・経済的に解説する。

30 世界の国のプロフィール:ガイアナ

32 激論! 「倫理的な富」って矛盾では?<翻訳>
個人の富の蓄積は、世界に良い影響を及ぼすのだろうか? それとも、金持ちの個人的善行に比べれば、極端な貧富の差の方が社会への影響はずっと大きいのだろうか? 貧乏芸術家のポール・フィッツジェラルドと、化粧品会社ラッシュの社長で億万長者のマーク・コンスタンティンが、一筋縄ではいかないこの質問をめぐって火花を散らす。

35 パズルページ
クロスワード、数独、ワードサーチ。

36 風刺漫画コーナー
ビッグ・バッド・ワールド、オンリー・プラネットに加え、政治マンガ家とコミック・ジャーナリストの国際ネットワークCartoon Movementからの作品を掲載。

37 カイロからの手紙
ムバラク支配という長いトンネルを抜け出し、将来の可能性が広がったことに高い期待を抱くエジプト人たちの心情。

38 インタビュー:ジャック・マパンジェ
3年半投獄されていたマラウイの詩人、ジャック・マパンジェ。投獄の日々を綴ったメモワール出版の直前に、自由、不変の真実、獄中での創作方法などについて話を聞いた。

NI日本版 No.129 目次

(本文は日本語です)

 

1 経済成長立役者の厳しい現実(NI p14-17の翻訳)
グローバル経済に刺激を与えている中国の出稼ぎ労働者。だがはたして彼らは、相応の恩恵を受けているのだろうか。リチャード・スウィフトが報告する。

 米国のタイム誌は、2009年の今年の人にベン・バーナンキ米連邦準備制度理事会議長を選んだ。その候補者の中には、中国の8%という経済成長率達成の立役者である「他国に経済的な刺激を与えた」「若い中国の出稼ぎ労働者たち」も含まれていた。その栄誉は、「故郷を後に、時には家族を残し単身で出稼ぎに向かい、好況に沸く中国沿岸部の工場に仕事を求めてやって来る数千万人の労働者たち」に与えられている。
 この出稼ぎ労働者[訳注:日本のメディアでは農民工という名称で呼ばれることも多い]に対しては、ある種の相反した感情が入り交じっている。出稼ぎ労働者は求められている存在だが、そこには拒否反応もある。労働力としては歓迎されるものの、人間としては拒絶されることも少なくない。騒々しい、におう、面倒を起こす、さらには犯罪に手を染める者たちなどという目で見られることもしばしばだ。同じ国の市民で民族的に祖先を同じくしていても、彼らは「外国人」のようなものなのだ。彼らの法的地位があいまいなことも珍しくないが、そんな弱みに抜け目なく付け込むのが富裕層や権力者である。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

6 iSlave ― 電子産業の奴隷労働者(NI p19-21の翻訳)

中国で最も成功した企業のひとつで働く労働者がなぜ自殺を選ぶのか。ジェニー・チャンの報告。

 昨年、広東省、江蘇省、河北省にあるフォックスコン(富士康)の工場では、驚くべきことに18人の中国人出稼ぎ労働者が自殺を図った。14人が死亡し、4人は重体となったが一命を取りとめた。彼らは全員17歳から25歳の若者であった。そんな若者たちがなぜ自ら死を選んだのか?
 2010年、フォックスコンは過去最高の791億ドルの売上高を記録した。これは、取引先であるマイクロソフト、ノキア、デルなどをもしのぐ額である。最新の電子ガジェット[訳注:gadget目新しい小道具、面白い小物の意]のiPhone 4、iPad、そしてより薄型のiPad 2などの登場により、世界の消費者の選択肢は広がった。これらの製品を製造しているのが、中国だけでも100万人を超えるフォックスコンの労働者たちだ。この企業は、今年半ばまでに世界のEMS(電子機器受託生産)市場の50%を占めると予想されている。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

8 正義への困難な道のり(NI p18-19の翻訳)

中国の労働者たちは、健康、生活、思いやりのない労務管理という極めて深刻な問題に直面している。彼らは徐々にその状況への憤りを強め、反抗の闘いに転じている。

ホワン・キュエのいちかばちかの行動


 ホワン・キュエと3人の同僚たちが求めているのは、ただ単にかつての仕事に戻して欲しいということだ。彼らは無視され、嫌がらせと脅迫も受けている。
 この4人の労働者は、湖南省寧遠県にある国営電力企業で長年働いてきた。最低限の福利厚生が用意された安定した仕事だったが、正式な契約は交わされていなかった。2007年この電力企業は、労働者との正式契約締結を義務づける法律を免れようと、労働者たちの一時的な配置転換を密かに進めていったのである。
 ホワンがこのことを知ったのは2008年初めだった。ちょうどその頃中国南部は、この10年で最悪という寒波に襲われており、この寒波により湖南省では数週間停電が続いた。ホワンと同僚たちは、地域の電気を復旧させるために休みなく働いた。5月になってようやく時間ができ、以前の仕事に戻すよう当局に嘆願書を出した


・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

10 中国の労働者 ― その事実(NI p20-21の翻訳)
賃金レベルや移住、彼らを取り巻く腐敗や不正義に対する抗議と暴動まで、データで見てみよう。

11 ニュース&オルタナティブ
・同性婚合法化10周年(4月1日)(NI p6からの要約)
全ての愛は平等だが、法の下では不平等という現実。
・シエラレオネ医療費無料イニシアチブ1周年(4月27日)(NI p10からの要約)
妊産婦、母乳で子育て中の母親、そして5歳未満の子どもの医療費を無料にしたこの試みがもたらした変化と光明。
・団結して犯罪に立ち向かう(NI p25の翻訳)
ベネズエラのユニークな犯罪者更生プロジェクトについて。

13 「倫理的な富」って矛盾では?(NI p32-34の翻訳)
個人の富の蓄積は、世界に良い影響を及ぼすのだろうか? それとも、金持ちの個人的善行に比べれば、極端な貧富の差の方が社会への影響はずっと大きいのだろうか? 貧乏芸術家のポール・フィッツジェラルドと、化粧品会社ラッシュの社長で億万長者のマーク・コンスタンティンが、一筋縄ではいかないこの質問をめぐって火花を散らす。

16 日本での動き
震災特別編 「思いを形に」
通常はNIの特集テーマに関連する活動を取り上げているこのコーナー。しかし今回は特別編として、震災に関連した活動を取り上げる。いち早く被災地に一般ボランティアを送ることを決めたピースボート。対応が遅れがちな災害弱者の外国人の中でも特に立場が弱い難民を細やかに支援する難民支援協会。原子力推進派によって隠されたりゆがめられたりした情報を、市民の手に取り戻してきちんと議論ができるようにしようと情報発信を続ける原子力資料情報室。とにかく原発を再考してほしいという思いから、多数の人が参加して行われた反原発デモ(NIジャパンによるリポートはこちら)。たくさんの多様な思いが活動という形になって、日本の再生につながっていくことは間違いない。
この震災特別編を読む

20 編集後記、次号のお知らせ、ほか


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