2010年9月号

NI No.435 & NIジャパン No.123

タネの多様性を守れ
Seed savers - The frontline against world hunger

10月に名古屋で開かれる生物多様性条約の会議に向け、日本でも生物多様性への関心が高まっている。消えゆく里山から絶滅危惧の動物まで、さまざまな話題が耳に入ってくる。中でも私たちの食卓に直結するのが、植物のタネの問題だ。

人間は多々ある植物の一部を栽培し、それを食べて生きてきた。収穫した作物からはタネが採られ、それが引き継がれて代々農業の営みが行われてきた。しかし現在、そんな営みや多様な在来種の植物が危機に直面している。交配種や遺伝子組み換えのタネに化学肥料と農薬をセットで売り込み、工業的な農業手法で作物のタネ(つまり私たちの食料)を支配しようともくろむ世界のアグリビジネス企業。彼らは、人口増加著しい世界を食べさせていく唯一の方法が工業的農業だ、と主張する。しかし彼らが「開発」した作物は企業の所有物となり、その結果作物の独占と単一作物栽培が進み、化石燃料への依存は増え、作物の耐病性や気候変動への適応性は弱まっていく。

今月のNIは、ラテンアメリカ、アフリカ、アジアの小規模農民たちが、そんな未来を回避するためにすでに取り組んでいる活動を報告する。彼らは健康的で持続可能な形で食料を生産しシードバンク(種子銀行)を立ち上げ、環境変化にも強い在来のタネを後世に伝えようとしている。彼らに必要なのは新しいタネではなく、貧困と搾取からの解放なのだ。

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● NI No.435 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。


2 読者の声


4 タネを採る人々<翻訳>
交配種(F1種)や遺伝子組み換え作物と、それらに不可欠な化学肥料や農薬を使って世界の農業を支配しようともくろむ巨大アグリビジネス。しかし世界の多くの農民は、何代にもわたり受け継がれてきた在来種のタネを育て、自分でタネを採り、その支配に抵抗する。彼らの伝統的知識とタネは、今も多くの人々に食料を供給している。

8 真実の作物<要約>
地域の風土にあった作物を育て、タネを採り、それを保存し、次の世代にも伝えていく。その営みに誇りを持って取り組む南インドのダリット(カーストにも含まれないインド社会の最下層の人々)の女性たちを訪ねた。

10 タネ ― その事実<翻訳>
企業による独占、単一作物栽培の弊害、タネの多様性などに関するデータとファクト。

12 タネの主権は誰の手に
世界の食料政策が民主的に定められることを求めてキャンペーンを行う国際農民組織、ビア・カンペシーナ(スペイン語で農民の道という意味)。彼らは現在タネを守るキャンペーンも行っている。このキャンペーンを始めた理由と目的について、チリの先住民族のスタッフに話を聞いた。

14 気候変動を生き抜く<要約>
ここ数十年、アフリカでもタネを買う農民が増え、一部の農民たちはアグリビジネスが提供するタネに完全に依存している。しかしまた、古くから受け継がれてきたタネを次世代に伝え、食料の安定供給も視野に入れて取り組むコミュニティーや団体も増えている。

16 タネ小史
タネの生物学的側面から進化について見てみよう。

18 死の商人<要約>
巨大アグリビジネスは、どうやって世界の農業を支配しようとしているのか。そしてそれは、どこまで進んでいるのだろうか。

20 アクション
タネを守る活動や交換会からキャンペーンNGOや書籍まで、タネに関して行動するための情報源。


【Special Feature】
オンライン・アクティビズム<抄訳>

インターネットと、それを利用した仮想コミュニティー(フェイスブックやツイッター)や媒体(ブログやメール)の出現。それは、社会変革をより身近で容易なものにしたのだろうか。



25 世界のニュース<*のついた記事を要約で掲載>
グアテマラ駐在カナダ大使の罪(人権)/*歴史的なヤスニの調印(エクアドル)/*毒された丘(麻薬)/欧州排出権取引市場はなぜハッキングされたのか(気候変動) ほか

27 オンリー・プラネット(4コマ漫画)
人間の注目を浴びるには。

28 ビッグ・バッド・ワールド
金融危機の影響を最も受けるのはやはり金持ちだった!?

29 ワールドビーターズ
米国の石炭産業で最も高い報酬を得ているマッシー・エナジー社のCEOドン・ブランケンシップ。1980年代から90年代にかけては、労働組合の強い鉱山を武装警備員を使って閉鎖した。高い利益を追い求め、環境汚染や労働現場の安全性などは眼中にない。

30 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

32 南の国からの一コマ
危機に瀕するアルゼンチンのマプーチェ民族の暮らし。

33 社会を揺さぶる人々
正義を求め、人々を行動に駆り立てるインドの活動家、PV・ラジャゴパルへのインタビュー。

34 エッセー:協働して取り組む
スペインのモンドラゴン協同組合とカナダ・米国の鉄鋼労働組合。どちらも長い間それぞれの国で労働者のために活動してきた団体である。この2つの団体が協力し、足りない部分を補い合い、新たな可能性が広がる。

36 世界の国のプロフィール:バングラデシュ


NI日本版 No.123 目次

(本文は日本語です)

 


1 タネを採る人々(NI p4-7の翻訳)

巨大「ライフサイエンス」企業が世界のタネ市場を飲み込もうとしているのは悪いニュースだ。しかしデビッド・ランソムは、自らの手でタネを採る小規模農家が、今でも世界の人々を食べさせているという良いニュースを伝える。

 田園地帯にあるロンドンの王立キュー植物園の分園、ウェイクハースト・プレイス。そのすばらしい敷地には大邸宅が建っている。ある夏の平日、リタイヤしたとおぼしき年配者たちが、珍しい樹木の木陰をのんびりと歩き、花の香りを楽しみ、紅茶を味わい、牧歌的な雰囲気を満喫していた。
 そして、地下深くの巨大で近代的な倉庫内の気密が保たれた乾燥室。「マイナス20度です」。キューのミレニアム・シード・バンク・プロジェクトの種子収集責任者マイケル・ウェイは、その重厚なドアを指して言った。その中には、世界中から集められた2万6,000種あまりのタネが保存されている。そのほとんどは絶滅の危機に瀕しているものだ。
 このプロジェクトはその名の通りである。「万が一に備えた方針がすぐにでも必要で、その緊急性はますます高まっています……。世界の植物種は、生息環境の喪失だけを原因としたものでも1970年から2050年の間にその10%から15%が失われると推測されています」(1)

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

5 死の商人(NI p18-19の要約)

種子市場は「生命科学」企業に支配されている。スー・ブラッドフォードが、死の臭いがする過去を検証する。

 今年6月、ハイチで約1万人の農民が抗議のデモを行った。その時、米国のモンサント社から送られた援助物資のタネ60トンが燃やされた。1月の大地震で大打撃を受けたこの国ではタネ不足は非常に深刻だが、援助のタネはなぜ燃やされたのか?
 ハイチ最大の農民組織の代表を務めるシャヴァンヌ・ジャン=バティストは、モンサントは援助活動を利用してハイチの農民がモンサントのタネに依存するよう仕向けていると言う。「……私たちは、毎年自分たちで作物のタネを採っています。でもモンサントのタネではそれができません。さらに悪いことに、私たちの土地にも適していないのです」

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

6 真実の作物(NI p8-9の要約)

タネに関する古くからの知識と知恵を今も受け継ぐ南インドの最下層の女性たち。ジャイディープ・ハーディカールが彼女たちのもとを訪問した。

 最初に目を奪われたのはその色だった。そして次は魅力的な多様性だ。
 タネで満たされた美しい土器を土間に一つ一つきちんと並べるチャンドランマ・モリカリ。彼女の顔は晴れ晴れとしている。60歳代の彼女は言った。「私たちのタネ、私たちの命です」。いくつかのミレット[訳注:キビやアワなどのイネ科の雑穀]について誇らしげに説明するが、中にはインドの他の地域では絶滅の危機に瀕しているものもある。
 多様なミレットは、すべて彼女の家の食卓を飾るものだ。栄養豊富で健康に良く、日々の幸せに役立っているという。彼女の母語のテルグ語では、これらの雑穀のことをsatyam pantulu(真実の作物)と呼ぶ。
 タネは粘り強い。この地域のやせた赤みを帯びたラテライトや黒い沖積層の土壌、不安定なモンスーン、気象による被害、気まぐれな市場価格といった困難を乗り越えて育つ。
 タネは正直である。これらのタネは乾燥地での農業に適し、水や肥料をあまりやらなくても育つ。政府が農民に強いて導入し、その結果何百万人もの農民たちが現在借金漬けになっている高コストのエネルギー集約型現代農業とは対照的だ。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

8 タネ ― その事実(NI p10-11の翻訳)
企業による独占、単一作物栽培の弊害、タネの多様性などに関するデータとファクト。

10 気候変動を生き抜く(NI p14-15の要約)
ここ数十年、アフリカでもタネを買う農民が増え、一部の農民たちはアグリビジネスが提供するタネに完全に依存している。しかしまた、古くから受け継がれてきたタネを次世代に伝え、食料の安定供給も視野に入れて取り組むコミュニティーや団体も増えている。

12 日本での動き
毎日何げなく食べている野菜やくだもの。人間の都合でそのタネに手が加えられ、多様性喪失につながっていることは否めない。人間社会におけるタネのあり方について考える。
●生物多様性と日本のタネ事情
●地域と文化と人とタネ<たねの森

12 アクション! ─ 何かする・もっと知る
・日本の団体と参考ウェブサイト、本、資料などの情報。

14 今月のフォーカス(NI p21-24の抄訳)
●オンライン・アクティビズム
インターネットと、それを利用した仮想コミュニティー(フェイスブックやツイッター)や媒体(ブログやメール)の出現。それは、社会変革をより身近で容易なものにしたのだろうか。

15 世界のニュース(NI p25-26からの要約)
・歴史的なヤスニの調印(エクアドル)
・毒された丘(麻薬)
・人々を行動に駆り立てる:PV・ラジャゴパル(インタビュー)

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか

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