2010年3月号

NI No.430 & NIジャパン No.118

グローバル化問題への処方せん
Globalization on the rocks......so what's to smile about?

人・物・カネ・サービスの国境を取り払い、私たちの生活を便利で、安く、早く、簡単にしてくれたグローバル化。それを牽引したのは企業であり、企業主導でグローバルな制度の構築と標準化が行われてきた。

人々はグローバル化の光の部分ばかりを見つめ、影の部分からは目をそむけてきた。だが、世界金融危機によって企業主導のグローバル化の仕組みは崩壊し、世界経済はどん底に陥り、影の部分の影響がこれまで以上に人々に大きな負担を強いるようになった。企業の後ろ盾を受けて経済・金融・貿易の仕組みを牛耳ってきた三位一体(国際通貨基金、世界銀行、世界貿易機関)もなすすべはなく、企業が以前のような力を回復してくれるようただ祈るばかりである。

だが今は、以前のような市場盲信型の新自由主義経済の回復を待つ時ではない。より公正で民主的なシステムと新たな国際協調主義"new internationalism"へ向かうチャンスの時として考えるべきだ。

今月は、崩壊した世界とそこに至るまでの状況の分析と、すでに始まっている新たな世界に向けた取り組みについて報告する。

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● NI No.430 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。


2 読者の声

PLUS:ビッグバッドワールド(風刺漫画)
豊かな国の偽善。

4 グローバル化の破たん<翻訳>
環境から人間の生活まで、現実世界の負担を顧みず、なりふりかまわないコスト削減と利益確保を追求してきた企業主導のグローバル化。そして起こるべくして起こった崩壊。だが、その尻ぬぐいを押しつけられているのは、私たちの税金と生活を握る国家であり、結局は一般の人々の負担となっているのだ。破たんに至った過程を振り返りながら、今後の新たな可能性を探る。

8 脱グローバル化への論考<翻訳>
新自由主義経済という幻想への代替案(オルタナティブ)は存在する。しかし私たちは、今なおそれに確信を持てない。それはなぜなのか。ウォールデン・ベローの考察。

9 脱グローバル化 ─ 11のオルタナティブな行動指針<翻訳>
「フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス」とウォールデン・ベローが10年以上かけて構想してきた「脱グローバル化」。今後のオルタナティブな開発戦略に取り入れるべきこととは。

10 トランジション・タウンへようこそ<要約>
企業主導のグローバル化が崩壊する前から実践されていたトランジション・タウン運動。この取り組みは、より人間味のある地域という単位で、持続可能で自律した生活圏の構築を目指す運動である。「直接かかわる楽観主義」で前向きな解決策を探る運動とその思想について。

12 グローバル化の崩壊 ― その事実<翻訳>
国際貿易、失業者数、経済活動、企業救済……。データと図表でグローバル化の崩壊を視覚化する。

14 視点を変えよ
輸出依存と安い労働力頼みの経済成長戦略は、環境から人間の労働まで、あらゆるものの真の価値をないがしろにしてきた。その欠陥は、今回の金融危機の前からもちろん明らかだった。そして今私たちは、その欠陥を正す機会を手に入れた。

16 危機、崩壊、信用収縮
企業がグローバル化のハンドルを握った1970年以来、大小合わせて約45回もの金融危機が起こっている。今日の世界金融危機に至るまで、どのような道のりをたどってきたのだろうか。

18 民主主義が芽吹く場所
経済成長モデルの押しつけに反旗を翻した活動。世界各地で起こっているそんな多数の活動から、エジプトとラテンアメリカの例を取り上げ、今後の新たなモデルの可能性を探る。

20 コネクション
書籍、ウェブサイト、活動団体の情報


【Special Feature】
21 南米発:母なる大地の権利尊重の動き<要約>

ボリビアのコチャバンバでは4月19日から22日まで、コペンハーゲンで行われたCOP15とは全く異なる気候変動対策会議が開催される。この新たなグローバルサミット「気候変動と母なる大地の権利に関する世界民衆会議」は、ボリビアのエボ・モラレス大統領の呼びかけで始まったものだ。その動きからは、一筋の希望が見えてくる。



25 世界のニュース<一部要約>
ゴミ集めで暮らす人々(エジプト)/★素晴らしい給食(イタリア)/迷走するコレア大統領(エクアドル)/マイクロファイナンスの影の部分(経済)/ほか
★の記事はNIジャパンメールマガジン4月号に翻訳を掲載

27 オンリー・プラネット(4コマ漫画)
皮肉ドナルドな食と環境の現実。

28 ビッグバッドワールド(風刺漫画)
創造的破壊?

29 ワールドビーターズ
テーザー銃は、テーザー・インターナショナル社が製造する電気ショックを与えるスタンガンである。非殺傷性をうたっているが、2001年以来、米国で308人、カナダで26人が、警察などによるテーザー銃の使用で死亡した可能性があると言われている。繰り返し電気ショックをあびせることは拷問にも等しい行為だ。警察や治安部隊にとって都合の良いこの武器は、社会規範や人権にもショックを与えている。

30 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

32 社会を揺さぶる人々
子どもの時に売春ブローカーに売られたカンボジア人のソマリー・マム。悪夢のような体験から立直り、アジアを中心に性的に搾取されている子どもたちを救い出す活動を始めた。そして今年、対象を世界の子どもたちに広げた団体を立ち上げた。

33 イスタンブールで考える
古い気質の書籍修復職人と話す。

34 南の国からの一コマ
世界の仕事の66%は女性が担い、食料の50%は女性が生産する。しかし、世界の収入のうち女性が受け取るのは10%で、土地の所有率は1%である。働く女性の姿を写真で紹介する。

36 世界の国のプロフィール:ソロモン諸島


NI日本版 No.118 目次

(本文は日本語です)

 


1 グローバル化の破たん (NI p4-7の翻訳)

市場の崩壊が告げているのは、ある時代の終わりともうひとつの時代の幕開けである。デヴィッド・ランソムによる報告。

 「神からは非常に遠く、米国には近すぎる」。こう言われていたメキシコは、1993年9月、あと少しでその歴史的宿命のくびきから解放されると政府上層部では言われていた。そのための解決策とは、単純に北米自由貿易協定(NAFTA)に加わって米国、カナダと市場統合し、あとはほったらかしにするということだった。テキサス州エルパソからリオグランデ川を越えたところにある町、シウダードファレス。激変の最前線となったこの町に、私は様子を見に出かけた。
 市の郊外の砂漠のあちこちに、巨大な金属のマキラ[訳注:マキラドーラとも呼ばれ、一定の条件で関税の優遇を受けた工場]が点々としている。その周囲のほこりっぽい掘っ立て小屋では、労働者たちが自動車部品からポテトチップまで多国籍企業向けのあらゆる物を製造していた。これらの製品はすべて無税でリオグランデ川を越え、「ジャストインタイム」[訳注:商品在庫をできるだけ少なくするため、必要なときに必要なものを必要なだけ調達する方法]で米国に輸出される。多くのメキシコ人にとっては、これがすでに企業主導のグローバル化を意味しており、NAFTAはそれをさらに推進すると約束していた。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

6 脱グローバル化への論考(NI p8-9の翻訳)

新自由主義経済という幻想への代替案に、今なお確信が持てないのはなぜか。ウォールデン・ベローがその理由を探る。

 この2年で、世界金融危機は実体経済の危機へと悪化した。米国など北の先進国の市場で需要が崩壊し、これまで30年間「グローバル化」のモデルとして君臨してきた輸出型経済は破綻に向かっている。このモデルとして一番の成功者である東アジアの経済には停滞と不況が訪れた。2009年、シンガポールの経済は2%縮小し、突出した「アジアのトラ」である韓国の経済はゼロ成長の見込みだ。日本はここ20年続いている不況から回復しておらず、中国経済は回復に向かっていると言われているが輸出産業では何百万人もの雇用が失われたままだ。
 新自由主義的なグローバル化の権化に分類される英国の経済誌『エコノミスト』は、「世界経済の統合はほとんどあらゆる分野で後退している」と述べ、企業がグローバル化したサプライチェーン[訳注:部品の仕入から製品の製造・出荷・販売までの一連の流れ]の効率性を今も信用し続けているとしながらも、「どんな鎖でもその中の最も弱い部分で全体の強さが決まる。もしも企業が、このような生産管理手法はもう役立たないと見限れば、世界経済の統合には赤信号がともる」との主張だ。
 多くの政府は、輸出型のグローバル経済崩壊への対応として、消費を促す景気刺激策を実施して自国内市場に頼って経済再生を図った。だが、今回の国内市場てこ入れは、新しい形の経済に歩み出す機会としてではなく、輸出市場での需要が回復するまでの急場しのぎの手段にすぎないと考えた政府が多いのである。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

7 脱グローバル化 ─ 11のオルタナティブな行動指針(NI p9からの翻訳)
「フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス」とウォールデン・ベローが10年以上かけて構想してきた「脱グローバル化」。今後のオルタナティブな開発戦略に取り入れるべきこととは。

8 グローバル化の崩壊 ― その事実(NI p12-13の要約)
国際貿易、失業者数、経済活動、企業救済……。データと図表でグローバル化の崩壊を視覚化する。

10 トランジション・タウンへようこそ(NI p10-11の要約)

企業中心のグローバル化が崩壊する前から、より人間味ある地域という単位でトランジション・タウン(TT)運動が始まっていた。「直接かかわる楽観主義」で前向きな解決策を探す運動とは。

 南ロンドンの混み合った住宅街の真ん中で、コンクリートの街に育つ冬のハーブや野菜に目を輝かせているTTブリクストンのメンバー、ダンカン・ロー。彼は、英国の都市部でも最も貧しいこの地域で菜園の運営を手伝っている。この菜園は、地元住民が住宅地の一画のコンクリートをはがし、コンポストを入れて作ったものだ。
 「こんな都会のど真ん中ですが、ここにはヤギ、自転車で引くリヤカー、屋根上の菜園、コミュニティーセンターがあります。無限の可能性がこの運動の魅力です。何かに反対するのではなく、何かを前向きに考えていく運動なのです」
 現在200人の活発な会員を持ち、メーリングリストには1,500人が登録するTTブリクストンだが、最初は少人数の運営グループを立ち上げ、気候変動とピークオイル[訳注:石油資源の減少で石油が容易に安価で入手できなくなること]について地元の人々と話すということから始まった。そして個々のメンバーの優先順位と興味分野がはっきりすると、TTの枠内で建築とエネルギー、食料と廃棄物、ビジネスと経済という自主的なグループが生まれた。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

12 アクション! ─ 何かする・もっと知る
日本の団体と参考ウェブサイト、本、資料などの情報。

13 日本での動き
ローカルから一歩を踏み出し、周囲を動かす行動力と巻き込み力で物事を進め、グローバルな問題の解決に取り組む2つの団体を紹介する。
・「日本でもトランジション・タウン増加中」<NPO法人 トランジション・ジャパン
・「実現に近づく日本の国際連帯税」<国際連帯税を推進する市民の会(アシスト)

14 今月のフォーカス(NI p22-23の要約)
南米発:母なる大地の権利尊重の動き
ボリビアのコチャバンバでは4月19日から22日まで、コペンハーゲンで行われたCOP15とは全く異なる気候変動対策会議が開催される。この新たなグローバルサミット「気候変動と母なる大地の権利に関する世界民衆会議」は、ボリビアのエボ・モラレス大統領の呼びかけで始まったものだ。その動きからは、一筋の希望が見えてくる。

15 世界のニュース(NI p26からの要約+NIジャパンからの報告)
ヤスニ提案のゆくえ
・迷走するコレア大統領(NI p26からの翻訳)
・日本の市民の協力を
  
(東京で行われたジュビリー・エクアドル代表のデルファ・マンティージャさん講演会の報告)

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか

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