NI & NIジャパン最新号のご案内

2010年1/2月合併号

NI No.429 & NIジャパン No.117

人口パニック? ─ 多すぎるあなたたち、少なすぎる私たち
Too many of us? - The population panic

現在世界には68億人以上の人々が住んでいる。国連の予測によれば、世界人口は2050年には90億人(中位推計値)に達する見通しで、現在の1.32倍あまりになるということだ。

そこで誰もが心配になるのは、今でも世界各地で叫ばれている食料不足、水不足、環境破壊などが悪化していくのではないか、そしてそれにともなって国、地域、世界レベルで情勢がさらに不安定化し、緊張が高まっていくのではないか、ということだろう。また特に昨年12月に行われたコペンハーゲンの気候変動会議に向けた動きとして、人口増加が地球温暖化の一因であり、温暖化対策として開発途上国の人口抑制をすべきだ、という主張も聞かれた。

これらの深刻な問題が起こるのは、この小さな地球にあまりにも多くの人間が住んでいるからなのだろうか? 特に、人口増加が著しい開発途上国が大きな原因となっているのだろうか?

中国やインドなど人口が増え続ける開発途上国。その一方で日本やイタリアなど人口が減少または増加がほとんど横ばいの先進国。このような構図を描き問題を感情的に書き立てる先進国のマスコミは、その責任の所在を人口や出生率から「多すぎる彼ら」に押しつける傾向が見られる。しかし事実はそう単純なものではない。

社会の多様な部分に影響を及ぼし、その一方で社会のさまざまな要素から影響を受ける人口。それは、歴史から経済発展、保健医療から人権に至るまで、幅広い視野からの客観的な分析に基づいた冷静な議論と、将来を見据えた長期的な視野に立って考えていくことが必要なテーマである。

今月のNIは、幅広い地域と分野からの視点で、「人口問題」と言われるものについて探っていく。

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● NI No.429 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。


2 読者の声

PLUS:ビッグバッドワールド(風刺漫画)
豊かな国の偽善。

4 人間は多すぎるのか<翻訳>
温暖化対策としての途上国人口抑制策、子どもの虐待を減らすための最貧困層への避妊奨励金……。感情を刺激する人ロという問題へのイントロダクション。

5 人口パニックの視点 ― 2,000人の人口学者の否定<翻訳>
現在約68億人の世界の人口は、2050年には90億人に達すると推測されているが、その後は横ばいとなって減少に転じると考えられている。このような状況の中、途上国での著しい人口増加に注目が集まっており、温暖化と資源欠乏に関する感情的な議論が飛び交っている。一方先進国では、少子高齢化も感情を刺激するテーマである。感情を抑えた長期的視野に立つ冷静な状況分析をすると、実際は何が見えてくるのだろうか。

8 コーヒーのせい?
東チモールが子だくさんな理由とは。

9 高齢化 ─ 7つの誤解<翻訳>
今後は世界的に少子高齢化が進んでいく。しかしそれは、多くの人々が危惧しているほどの危機的な状況というわけではない。主な7つの懸念について詳しく見てみよう。

10 人口の歴史をたどる
農業手法の発達が見られるようになる前の紀元前1万年ごろ、世界の人口は100万人ほどだったと考えられている。そこから現在に至る人口の道のりを振り返ってみよう。

12 禁欲と避妊と望まない妊娠
家族計画の意義と避妊の方法がきちんと理解され、人々がそのサービスや物資に手軽にアクセスできるようにならなければ、望まない妊娠を減らすことは難しい。世界のトレンドに逆行して中絶が増加しているアフリカの現状から、人口問題の一面を探る。

14 異なる人口抑制策と異なる結果
中国とイラン。この2つの国は、大きく異なるやり方で人口増加のペースを減速させることに成功した。それぞれどんな方法を用い、どんな未来を引き寄せたのか。

15 気候変動に翻弄される人口大国バングラデシュ
国土の大半が海抜10メートル以下のバングラデシュ。この国の人々を食べさせていく上で重要な農地は、気候変動のために洪水だけでなく干ばつの被害にも遭っている。やはり海抜が低く洪水被害に遭い、人々が海外移住を始めている南太平洋の小さな島嶼国と違うのは、バングラデシュには1億6,000万もの人々が住んでいるということである。環境難民の問題が注目を集めつつあるが、この多数の人々の将来はどうなっていくのだろうか。

17 人口と気候変動 ─ 2つの視点<要約>
人口の増加は、地球温暖化に悪影響を及ぼしているのか? 温暖化対策を困難なものにしているのか? 地球温暖化対策の一環として、途上国の人口増加を抑制する必要はあるのだろうか? 異なる主張を展開する環境評論家のジョナサン・ポリットと政策提言NGOのザ・コーナー・ハウス。2つのぶつかり合う意見を聞いてみよう。

19 人口の課題に臨む姿勢とは<要約>
環境破壊や気候変動、食料や水の不足。結局これらは、途上国の人口増加そのものよりも、物の分配や社会・経済の仕組み、先進国のラィフスタイルによるところの方が大きいと言っていいだろう。その現状についてバネッサ・ベアードが分析する。

21 社会を揺さぶる人々
女性への偏見や差別がまだまだ根強いパキスタン。その中でもとりわけ保守的な北西辺境州で、教育や職業訓練から小規模事業支援や地域への提言活動まで、女性の能力と地位向上に努めるKhwendo Korのマルヤム・ビビへのインタビュー。


【Special Features】
22 修羅場と化した気候変動会議<要約>

ジェス・ワースが内側から見た、コペンハーゲン国連気候変動第15回締約国会議(COP15)の崩壊現場報告。

24 平和を望む人々
ある悲劇を通じて友情が芽生えたイスラエル人のラミ・エルハナンとパレスチナ人のバッサム・アラミンの物語。



26 世界のニュース<一部要約>
インド軍の暴力の犠牲になる子どもたち(カシミール)/学生たちの圧勝(労働者の権利)/地雷除去のヒーロー(カンボジア)/買うべきか買わざるべきか(フェアトレード)/ほか

27 オンリー・プラネット(4コマ漫画)
人間の一面にとまどうゴートとクラーツ。

29 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介(The Best of 2009)

32 NIジャンボクロスワードパズル

33 ワールドビーターズ
オランダの極右政党である自由党の党首ヘールト・ウィルダース。特にイスラーム嫌いで有名な彼は、社会を扇動する数々の発言をし、イスラエルへ傾倒していることでもよく知られている。

34 エッセー:最底辺のアフリカーナ人たち
アパルトヘイト(人種隔離政策)の時代には豊かな暮らしを享受していたアフリカーナ(南アフリカのヨーロッパ系白人)。現在でも平均的には黒人よりも豊かな暮らしぶりであるが、貧困層は拡大している。そんな貧困層が住むスラム街の様子を、ディーン・サフロンが写真で伝える。

36 世界の国のプロフィール:シエラレオネ

NI日本版 No.117 目次

(本文は日本語です)

 


1 人間は多すぎるのか (NI p4-5の翻訳)

人口、それはセックスや死や資源に関係することで、感情的に扱われてしまうのも不思議ではない。しかし、人口増加に対する昨今の反応はいささか過剰ではないだろうか? バネッサ・ベアードが検証する。

 小柄だが元気のいい私の大おばは、若いころ修道女になりたいという大きな夢を持っていた。しかし彼女はベルギー北部のフランドル出身の詩人と出会って恋に落ち、プロポーズを受け入れた。ただ、ひとつだけ条件をつけた。それは、子どもは12人つくるというものだった。有言実行の習わし通り、彼女は13人の子どもを持った。
 彼女のめいにあたる私の母も同じように、敬けんなる人生を完徹できなかった方である。母が試みた独身主義の意志も、大おばと同程度の説得力しかない。彼女の8番目の子どもである私は、世界の人口問題については多少動揺しながら考えた。世間一般で標準とされる子どもの数を考えてみれば、私なんか本当はこの世に生まれて来るべきではなかったのではないか、と。
 やはり人口というテーマ、特に人口増加は、人間が持つありとあらゆる感情を揺さぶる可能性を持っているように思える。
 現在、この惑星には約68億人が暮らしているが、10年前は59億人だった。そして2050年には90億人を超えると見られている(p5のグラフを参照)。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

3 人口パニックの視点 ― 2,000人の人口学者の否定 (NI p5-8の翻訳)

 マラケシュの中心街にある会議場(パレ・ドゥ・コングレ)に続く道路の中央分離帯。そこに植えられたオリーブの木から、ふたりの少年が実をとっていた。会議場では、1週間にわたる国際会議が始まろうとしているところだ。少年たちは、次の木に移る前に、今までとっていた木の実をかばんにしまった。
 それだ! それが欠けていたんだ、少年たち!
 今回モロッコを訪れ、以前2回の訪問と大きく印象が異なる理由を、私は考えていた。最初の訪問は1975年だったが、その時は小さな子どもたち(それほど小さいというわけでもなかったが)の一団に絶えずつきまとわれていたという記憶が残っている。子どもたちは、ガイドをしてやるよ、荷物運びをしてやるよ、他のガイドや荷物運びから守ってやるとつきまとう少年たちからガードしてやるよ、などと言いながら私を取り囲んだ……。
 2回目の訪問は1987年だった。国連人口基金のための仕事で、出産したばかりの女性の取材にかかわった。その若い母親は出産後2〜3日して村に戻ったが、疲れがまだ残っている様子だった。彼女は言った。子どもはもう欲しくなかった、5人いれば十分だったと。私はこの取材訪問を手配してくれた助産師に、「彼女の意思はとても固いようだ」と言ったが、その助産師は肩をすくめながら、「そうかもしれないわね。でも、旦那はもっと子どもが欲しいのよ。それは、彼の社会的地位に関係してくるからなの」と説明してくれた。
 そのころから、モロッコの出生率は急激に低下した。一家に7〜8人の子どもがいるのが普通だった1960年代と70年代とは異なり、今では子どもも2〜3人くらいになった。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

6 高齢化 ─ 7つの誤解(NI p9からの翻訳)

世界人口の平均年齢は高くなっている。それは、寿命が延びただけでなく、生まれる子どもの数も少なくなっているからだ。だが、各国のこのような高齢化は、本当に「危機」なのだろうか。

1.「それは豊かな国々の問題だ」
世界の66歳以上の人口は約5億3,000万人。このうち6割を超える人々が、南の開発途上国に住んでいる。(1) 今世紀半ばには、この数字は8割に達しそうな勢いだ。世界人口の高齢化を示す指標となる年齢の中間値は、2009年の29歳から2050年には38歳に上がると推測されている。現在最も高齢な人口を抱えるのはヨーロッパで、年齢の中間値は40歳近くになっている。今世紀半ばには、43の開発途上国で年齢の中間値が40歳を超えるだろう。(2)


・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

7 トレンド ─ 中絶と移民(NI p13、p16からの翻訳)
中絶の動向と移民の現状について。

8 人口と気候変動 ─ 2つの視点(NI p17-18の要約)
人口の増加は、地球温暖化に悪影響を及ぼしているのか? 温暖化対策を困難なものにしているのか? 地球温暖化対策の一環として、途上国の人口増加を抑制する必要はあるのだろうか? 異なる主張を展開する環境評論家のジョナサン・ポリットと政策提言NGOのザ・コーナー・ハウス。2つのぶつかり合う意見を聞いてみよう。

10 人口の課題に臨む姿勢とは(NI p19-20の要約)
環境破壊や気候変動、食料や水の不足。結局これらは、途上国の人口増加そのものよりも、物の分配や社会・経済の仕組み、先進国のラィフスタイルによるところの方が大きいと言っていいだろう。その現状についてバネッサ・ベアードが分析する。

12 日本での動き
 今回は、人口の課題に対して取り組む4人の方々から、それぞれの取り組みの中で考えること、不安、エピソードなどについて話を聞いた。
 人口は人の数を表す数字であるが、一口に人口と言ってもさまざまな側面がある。不安定な人間と人間社会の産物である人口は、時がたてば変化し、地域、文化、宗教、人口構造(年齢)など、まとめ方によって異なる顔を見せる。
 もちろん人口というテーマは、単に人間の数が増えた減ったというだけでなく、その原因と結果にまつわるさまざまな要素が含まれ、「人口を見る視点」は多様である。今回の4つの視点は、マスメディアの報道にありがちなセンセーショナルな数字の増減とは異なる、幅広い見方を与えてくれるだろう。
●人口変化がもたらす影響 <日本大学人口研究所 副所長 安藤博文
●途上国の現実と家族計画
 <財団法人ジョイセフ(家族計画国際協力財団) 常任理事・事務局長 石井澄江
●途上国の発展と人口ボーナス <国連人口基金東京事務所長 池上清子
●社会の変化とエンブリオロジストの役割
 <一般社団法人日本臨床エンブリオロジスト学会員 佐藤和文

13 アクション! ─ 何かする・もっと知る
日本の団体と参考ウェブサイト、本、資料などの情報。

14 今月のフォーカス(NI p22-23の要約)
・修羅場と化した気候変動会議
ジェス・ワースが内側から見た、コペンハーゲン国連気候変動第15回締約国会議(COP15)の崩壊現場報告。

15 世界のニュース(NI p27、p28からの要約)
・学生たちの圧勝(労働者の権利)
・地雷除去のヒーロー(カンボジア)
・買うべきか買わざるべきか(フェアトレード)

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか

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