2009年12月号

NI No.428 & NIジャパン No.116

コペンハーゲンと気候変動対策のゆくえ
Welcome to Copenhagen! - The Great Climate Sale

 今月号の表紙を飾っているのは、温室効果ガスの排出をカネに変えているアル・ゴアの姿である。映画「不都合な真実」で温暖化への警鐘を鳴らし、気候変動への意識を一気に高めた彼に失礼ではないかという意見もあろう。しかし、「企業にやさしい」排出量相殺の仕組みを京都議定書に入れるよう強く主張したのはまぎれもなくゴア本人だ。彼はその後、炭素市場普及のために多大なエネルギーを費やし、炭素取引企業に巨額の投資も行った。このような事実を指し、気候変動対策に反対する人々は、気候変動の問題などはでっちあげであると主張する。しかし、そんな主張こそ現実を直視しないまやかしである。
 現在気候変動対策で本当に問題なのは、ゴアも含めた世界の富裕国・富裕層が、気候変動の原因をつくり出してきた同じシステムやメンタリティーでそれを解決できると主張していることである。
 そこで今月のNIでは、コペンハーゲンで行われる国連の気候変動枠組み条約会議の内幕、「ビジネス・マインド」が支配する気候変動対策の危うさ、コペンハーゲン後を見据える市民社会の動きなどを探っていく。

この号のご注文はこちらから→      セット(英語版&日本語版)    英語版    日本版

日本版PDF版(400円)はこちら
(DL-MARKETのサイトにジャンプします)


● NI No.428 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。


2 読者の声

PLUS:オンリー・プラネット(4コマ漫画)

4 私たちの手で導く未来<翻訳>
地球温暖化に関しては、後戻りのきかない限界点がすぐそこに見えている。多くの人々が、2009年12月にコペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み条約会議(C0P15)は、地球環境への壊滅的影響をもたらす限界点到達へのシナリオを回避する最後のチャンスだと言う。しかし実は、C0P15は最後のチャンスなどではない。真に有効的な取り組みが合意される可能性がほとんどないこの会議は、最後のチャンスにはなり得ない。そして市民社会では、COP15後に向けた新たな動きがすでに始まっている。

16 ゴートとクラーツの激闘!気候変動国際交渉(マンガ)<翻訳>
宇宙人のゴートとクラーツが解説するコペンハーゲンの気候変動会議。皮肉に満ちた絵とストーリーで、現実と裏事情を鋭く批判する。

14 アマゾンの森を石油開発から守る保証書とは<オンラインリポートに翻訳を掲載>
アマゾンの一角を占めるエクアドルのヤスニ地方。その豊かな熱帯雨林の地下には、豊富な石油資源が眠る。石油開発をせずにヤスニの自然を守り、また二酸化炭素排出を抑えるため、エクアドル政府は国際社会に新しい仕組みを提案している。だが、それはいったいどんな仕組みで、十分実効的なものなのだろうか。
 →この記事をオンラインリポートで読む


16 気候変動はビジネスチャンス<要約>
企業やトレーダーは、気候変動をビジネスチャンスととらえている。気候変動対策としてというよりは、利潤追求の投資として期待が高い炭素取引やREDD(森林の減少・劣化による温室効果ガス排出の抑制)、温暖化対策と銘打った怪しげな新技術……。地球環境の将来よりもビジネス思考が支配的な世界の動向を探る。

19 立ち上がれ
COP15に向けて、コペンハーゲンと世界各地で行われる活動、イベント情報。


【Special Feature】
21 土地なし農民運動(MST)の軌跡
月世界で最もダイナミックな社会運動と言われるブラジルのMSTは、活動を始めて今年で25年を迎えた。人口1億9,000万人のこの国では、たった3万5,000の家族が農地のおよそ半分を管理し、人口の3%が全耕作地の半分を所有する。この国でMSTは、土地の占拠という方法によって、人々に土地と人間らしい生活を取り戻してきた。



25 世界のニュース<一部要約>
猛毒の歴史は終わらない(ボパール)/止まらない無人機の攻撃(「テロとの戦い」)/分離壁に分断されたオリーブの村(パレスチナ)/気候変動に適応する農民(農業)/ほか

28 ビッグバッドワールド(風刺漫画)<翻訳>
気候変動対策の現実か。
PLUS:NIクロスワードパズル

29 ワールドビーターズ
米国のレーガン元大統領がニカラグアの右派反政府ゲリラに秘密裏に軍事支援を行っていたイランコントラ事件。その時左派政権でゲリラに立ち向かっていたのが若き革命家ダニエル・オルテガだった。その後彼は内戦後初めての大統領選に勝利し、1985年大統領になる。1990年の大統領選挙では敗れるも、2007年に再当選を果たした。だが彼の革命家としてのイメージと言行は、大統領になって失われてしまった。腐敗し、権力のためには仇敵とも手を組む。革命家として抱いていた国造りのための政治信条とその実践はどこへいってしまったのか。

30 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

32 南の国からの一コマ
バングラデシュのダッカにあるカイラごみ処分場で働く子どもたち。。

33 バンクーバーで考える

精神医学は、利益第一の製薬会社によって蝕まれており、患者重視の治療が行われているとは言い難い。カナダの精神科医ジョアンナ・チークが、その内部事情を報告する。

34 エッセー:グリーンと社会主義の復活

世界が金融危機から回復しつつあるとすれば、私たちが目指す次の仕組みは資本主義ではなく、社会主義であるべきだ。この環境の時代、産業や労働に関する考え方など、社会主義がヒントになることは多い。

36 世界の国のプロフィール:エリトリア

NI日本版 No.116 目次

(本文は日本語です)

 


1 私たちの手で導く未来(NI p4-5の翻訳)

開催前から期待が低いコペンハーゲンの国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)。しかしそんなに悲観することはない。気候変動に対する行動は、世界各地で起こっている。こう語るジェス・ワースが、コペンハーゲンとその後を探る。

 12月のコペンハーゲンの会議が近づくにつれ、空虚なメッセージ合戦は最高潮に達しつつある。欧州連合(EU)のスタブロス・ディマス環境委員は、コペンハーゲンは、「手遅れになる前に気候変動を止める最後のチャンスだ」と注意を促す。英国のゴードン・ブラウン首相は、「代替案はない」と陰うつにつぶやいた。国際的なNGOの連合体である「気候アクションのためのグローバル・キャンペーン」も「この時代で最も重要な会議」だと言う。英国の銀行HSBCの気候変動部責任者ニック・ロビンズも「失敗は許されない」と同意する。
 さまざまなものが入り乱れたコペンハーゲン。ここでは、政治家、銀行、企業が最もすてきなスローガンを競い合っている。コカコーラ社は「ホーペンハーゲン(Hopenhagen)」[訳注:hopeは希望の意]請願書に署名するよう呼びかけ、石油メジャーのシェル社は見かけだけは豪華な雑誌のとじ込みページで「世界を救うのに残された時間は10日間だ」と私たちにくぎを刺す。
 このような異様なショーに目を奪われてはいけない。国連の「COP15」気候サミットは、各国政府が今後数十年を左右する気候変動枠組条約の交渉に臨む場である。今回それが私たちにとって「最後のチャンス」だというのは非常に危険な考え方だ。

下手な取り引き

 なぜ危険なのか。そこにはいくつか理由がある。最初に断わっておくが、これは最後のチャンスではない。コペンハーゲンでは、どんなものにせよ、効果的な地球温暖化対策が決まるとは思えない。つまり、これが最後のチャンスだとすれば、私たちは取り返しのつかない状況に陥ってしまうのだ。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

4 ゴートとクラーツの激闘!気候変動国際交渉(マンガ NI p6-12の翻訳)
宇宙人のゴートとクラーツが解説するコペンハーゲンの気候変動会議。皮肉に満ちた絵とストーリーで、現実と裏事情を鋭く批判する。


クリックして拡大

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

11 気候変動はビジネスチャンス(NI p16-18の要約)

世界の大企業に乗っ取られてしまった国連の気候変動会議。私たちの未来に暗い影を落とす現状を、オスカル・レイェスが報告する。

 今年5月、コペンハーゲンでは、国連の潘基文事務総長、ゴア元米国副大統領、世界の政界・財界を代表する人々が集まり、「気候変動をめぐる世界ビジネスサミット」が華々しく開かれた。米国の大手飲料・食品会社ペプシコ社のインドラ・ヌーイ最高経営責任者は、「私は、事実上1時間半の公開討論会に出席するために米国から飛行機でやって来ました。それが終わればすぐにまた帰国します。持続可能な環境に対する私たちの関心がいかに強いかお分かりいただけるかと思います」と得意げに述べたが、彼女はその言葉と行為が矛盾していることには気づいていない[訳注*]。しかしサミットではどの企業の出席者たちも似たような主張を展開し、自分たちがいかに地球を救おうとすることに熱心かを説いていた。
 ブッシュ政権時代には、米国の産業界はダチョウのように地面に首を突っ込んで、気候変動のことなど気にしていなかった。例えば石油メジャーのエクソンモービル社は、かつては「気候変動対策」にメリットを見いだせず、あらゆる気候関連の法律制定に反対してきた。このような企業は、気候変動を強く否定し、自分たちの主張を裏付けるような調査研究を支援していたのである。
 しかし現在、企業も現実を見つめていくぶん変化を見せ、今度はこの状況をビジネスチャンスととらえるようになった。大手企業でも「進歩的」な企業は、米国系大手NGOのバックアップを受けながら、炭素市場(二酸化炭素を垂れ流す権利を売買する)という市場主導の方法が、排出量削減を国際的に実施する唯一確実な方法であると主張し、12月の気候変動枠組み条約会議でもそれは主要テーマとなっている。しかし炭素市場に批判的な人々は、それは気候変動への直接的取り組みを遅らせ、化石燃料の使用を迅速に削減するという根本的な務めから目をそらせることになると主張している。

ダチョウ企業

 ただしダチョウ企業は、いまだに大きな政策変更には抵抗している。例えば、米商工会議所と全米製造者協会は、「2009年米国クリーンエネルギーおよびエネルギー安全保障法案(ACES)」に対抗する活動への資金提供を続けている。気候変動を単に否定する作戦を変更したダチョウ企業は、気候変動対策が「米国の競争力を低下させる」と主張する作戦をとるようになった。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

13 リオデジャネイロ→京都→激闘のコペンハーゲンへ
1992年の地球サミットで制定された国連気候変動枠組条約からコペンハーゲンに至る流れと、マンガ「ゴートとクラーツの激闘!気候変動国際交渉」の解説。

14 アクション! ─ 何かする・もっと知る
日本の団体と参考ウェブサイト、本、資料などの情報。

14 日本での動き
気候保護法案から地球温暖化対策の基本法へ。

15 世界のニュース(NI p25、26からの要約)
・止まらない無人機の攻撃(「テロとの戦い」)
・気候変動に適応する農民(農業)


15 ビッグバッドワールド(風刺漫画 NI p28からの翻訳)
気候変動対策の現実か。

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか

NIジャパン目次トップへ



  ●バックナンバーリストへ