2009年9月号

NI No.425 & NIジャパン No.113

ハチはどこへ行った?
Vanishing bees

人間が食べる食物の3分の1は、ハチに花粉の運搬を依存している。もしもハチがいなくなれば、私たちは多くの食べ物を失うだけでなく、生態系が大混乱に陥ることは明らかである。

2006年10月、世界で初めて蜂群崩壊症候群(CCD)と名づけられた現象が米国で起こった。CCDの診断にはいくつか基準があるが、最も大きな特徴は、ある日突然巣箱から働きバチが失踪してしまうことだ。周囲でその死骸が見つかることもなく、こつぜんと姿を消してしまったハチ。そこには、農薬や単一栽培農業からダニやウイルスまで、さまざまな原因が取りざたされている。しかし、その根本的な原因はまだ特定されておらず、当初考えられていたものよりも複合的で複雑な事情が徐々に明らかになっている。そしてまた日本や他の国々でも、ハチの大量死や失踪が問題となっている。今月のNIでは、いつの間にか人間社会に深くに組み込まれたハチの実情と、ハチに依存する現代社会について探る。

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● NI No.425 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。


2 読者の声


4 ハチが死にゆく理由<翻訳>
現代のハチを取り巻く事情を、ウェイン・エルウッドが探る。

8 ハチの事情 ─ その事実<翻訳>
ハチの種類や生態、食べ物との関係から病気まで、詳しく見てみよう。

10 はちみつは暮らしの一部
南インドに住む人々が行う伝統的なはちみつ採りと、彼らの暮らしについて。

12 ハチを救う10の方法<翻訳>
あなたの町や庭でできること、そして日常生活の中で気をつけることについて。

14 ハチが住む町
野生バチはどんなところに住むのだろうか。町中のちょっとした自然、庭の環境など、野生バチが好む生息環境の観察会がカナダの西海岸で人気を呼んでいる。


15 疲弊した惑星<翻訳>
地球上の生物は、これまで5回の大規模な種の絶滅を経験している。そして生物学者らは、現在私たちが直面しているミツバチなどの花粉媒介者の減少を「第6の絶滅」と呼ぶ。

16 小さな惑星を救うには<要約>
これまで2世紀近く人類が行ってきた自然を支配しようとするやり方を変えるしかないし、人間の世話なしでは生きられないミツバチによる養蜂のやり方も再考する時期に来ている。英国の養蜂家フィリップ・チャンドラーは語る。


【Special Feature】

18 有益か有害か:熱を帯びる開発援助論争<要約>

開発途上国に対する開発援助をめぐっては、「役立つ」「役立たない」「かえって有害だ」など以前から議論になっている。そして現在、ザンビア人エコノミストであるダンビサ・モヨ(Dambisa Moyo)の著書『Dead Aid』(無駄な援助)をめぐり、世界では開発援助に関して議論が活発に行われている。彼女の主張と、彼女の主張に反論するジョナサン・グレニー(Jonathan Glennie、『The Trouble with Aid』(援助による問題)の著者)の見解を見てみよう。



22 パキスタンの危機:タリバンはどうやって勢力を広げているのか
パキスタン軍によるタリバン掃討作戦が続く中、タリバンは軍事的な巻き返しを図っているだけでなく、人々の意識にまで深く影響を及ぼしている。現在の情勢とタリバンの戦術について報告する。

24 ミャオ族の危機:ジャングルの孤児
1960年代から70年代にかけて、米国は反共産主義の極秘任務にミャオ族(Hmong)を協力させた。そしてそれ以来ミャオ族は、ラオス政府勢力から弾圧を受けてきた。だがタイ政府は、すべてのミャオ族難民を年末までにラオスに送還する予定である。危うい状況に置かれたタイの難民キャンプとラオス国内のミャオ族の現状を報告する。

27 世界のニュース<一部記事の要約をオンラインリポートに掲載>
精神障害者施設の狂気(アフガニスタン)/クライメート・キャンプ(気候変動)/インドでの法的勝利(同性愛者の権利)/森林伐採による二酸化炭素の増加(パプアニューギニア)/ほか
 
→この記事をオンラインリポートで読む


29 オンリー・プラネット(4コマ漫画)
問題理解を複雑にする言葉遊び。

30 ビッグバッドワールド(風刺漫画)
二酸化炭素による集団自殺。
PLUS:NIジャンボクロスワードパズル

31 社会を揺さぶる人々
社会を鋭くシニカルに批判する活動を映像化し続けるカルチュラル・アクティビスト、The Yes MenのMike Bonannoへのインタビュー。

32 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介。

34 エッセー:子どもたちはなぜ働くのか
土地を失った小作農民の増加と農村部経済の崩壊が、バングラデシュの子どもたちを児童労働へと追い込む。

36 世界の国のプロフィール:ニジェール

NI日本版 No.113 目次

(本文は日本語です)

 


1 ハチが死にゆく理由(NI p4-7の翻訳)


私たちの食べ物のうち3分の1は、ミツバチが受粉の手助けをするおかげでできる。だが、そのミツバチが現在世界各地で姿を消しており、その原因はまだはっきりとしていないようだ。ウェイン・エルウッドがその事情を探る。


今は亡きジョン・ミューアが今日のカリフォルニアのセントラルバレーを訪れたとしたら、彼はそこがあのセントラルバレーだとは気づかないだろう。ミューアは、スコットランドから米国に移住した勇敢なナチュラリスト(自然主義者)で、米国の自然保護団体であるシエラクラブの創設メンバーのひとりである。1860年代から1870年代にかけて、彼はこの地域を旅し、谷の底から上まで斜面を埋め尽くす多様で豊かな植物と花のじゅうたんに目を見張った。興奮した彼は、その風景を率直に「ハチの牧場」と呼んだ:

<中略>

さて、それから150年がたち、眼前には当時とはかなり違った風景が広がっている。12車線のフリーウェイが谷底を縫うように走り、住宅地が広がり、ぎっしりと並んだ家々が丘の斜面に進出している。いくつもある小規模なショッピングセンターや工業団地以外の場所は農地となり、かんがいで引かれてきた水だけでなく、殺虫剤、除草剤、殺菌剤がたっぷり使われたトマト、ピーマン、豆類、イチゴ、レタスが数千エーカー[訳注:1エーカー=約0.4ヘクタール]にわたって植えられ、メキシコ人の労働者たちが働いている。

だがそのような果物と野菜も、いまや別の換金作物に押されている。それは、サンホアキンとサクラメントの谷の地域的な気候特性に合ったアーモンドだ。ジョン・ミューアが「ハチの牧場」と呼んだこの士地は根こそぎにされ、70万エーカーの土地にアーモンドの木が植えられた。世界のアーモンドの80%がここで作られ、カリフォルニア州は毎年10億ドル以上のアーモンドを輸出している。このナッツは、カリフォルニア州ご自慢のワイン産業の2倍を稼ぎ出す金の卵である。2月になると、白い花の天蓋が地平線まで広がる。ただし、花が咲いただけでは実にならない。実をつけるには受粉が必要である。しかしこれだけの広さに集中して木が植えてあるため、わずかしか残っていない野生のハチだけではすべての花を受粉させることはできない。この地域には、アーモンドの花が咲く数週間を除けば花はなく、みつや花粉のないところにはハチもいないということだ。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

6 ハチの事情 ─ その事実(NI p8-9の翻訳)
ハチの種類や生態、食べ物との関係から病気まで、詳しく見てみよう。


8 疲弊した惑星(NI p15の翻訳)

いまや手つかずの自然は残っていない。今起きている経済のグローバル化と世界貿易の爆発的拡大には、気候変動や人口増加、自然資源の略奪、大規模農業の拡大が伴っている。これらの事象によって、私たちの惑星の生物多様性はかつてないほどの危機に直面している。ミツバチのような花粉媒介者の減少は、その中のたったひとつの出来事にすぎない。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

9 小さな惑星を救うには(NI p16-17の要約)
これまで2世紀近く人類が行ってきた自然を支配しようとするやり方を変えるしかないし、人間の世話なしでは生きられないミツバチによる養蜂のやり方も再考する時期に来ている。英国の養蜂家フィリップ・チャンドラーは語る。

10 ハチを救う10の方法(NI p12-13の要約)

 世界の植物の9割は、昆虫や動物などの受粉媒介者に受粉や繁殖を委ねている。ハチはこうした受粉媒介者としては最も一般的で重要だが、いまや深刻な危機に直面している。その原因のほとんどが私たち人間にある。人間は、自然に存在するハチの生息地の多くを破壊し、大豆やトウモロコシなどの作物1種類だけを大規模に植える単一作物栽培を行い、農地を有毒な化学物質まみれにした。

今日圧倒的に広く行われているこうした農業モデルを変革することこそが、私たちに与えられている課題である。だが、それを待たずとも、個々の人々ができるハチを救う方法はたくさんある。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

12 アクション! ─ 何かする・もっと知る
日本の団体と参考ウェブサイト、本、資料などの情報。

13 日本での動き
〜ミツバチと人間の多様なかかわりから見える現代社会の姿とひずみについて
 いろいろな場所で、多様な考え方に基づき、 課題を乗り越えようと活動する、さまざまな個人・団体の話を聞いてみよう。
●今月の取材団体:
東京都養蜂組合<身近になったミツバチとその異変>
ハンガー・フリー・ワールド<ミツバチが支援する生活改善プロジェクト>

14 今月のフォーカス(NI p18-21の要約)
有益か有害か:熱を帯びる開発援助論争
開発途上国に対する開発援助をめぐっては、「役立つ」「役立たない」「かえって有害だ」など以前から議論になっている。そして現在、ザンビア人エコノミストであるダンビサ・モヨ(Dambisa Moyo)の著書『Dead Aid』(無駄な援助)をめぐり、世界では開発援助に関して議論が活発に行われている。彼女の主張と、彼女の主張に反論するジョナサン・グレニー(Jonathan Glennie、『The Trouble with Aid』(援助による問題)の著者)の見解を見てみよう。

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか

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