2009年1/2月合併号

NI No.419 & NIジャパン No.107

クライメート・ジャスティス─公平な温暖化対策
Climate justice: Taking the power back

  地球温暖化による気候変動で、すでに多くの人々が苦しんでいる。将来へと続くその計り知れないスケールの危機は、現在ニュースをにぎわせているような金融危機など足元にも及ばない恐ろしいものだ。私たちは、気候変動で何が起こるのかを知っているし、それを防ぐすべも持っているが、ようやく人々の間にまん延する問題意識の低さに向き合い始めたばかりだ。

気候変動で最も影響を受けるのは、貧しい人々や社会から疎外された人々である。豊かな国々は、これまで多くの温室効果ガスを排出し、今日の問題の原因をつくってきた。だが、その責任に対する先進国の政府と企業の認識は不十分である。先進国側は、いまだに実効性の乏しい解決策を擁護する一方で、温暖化防止という錦の御旗の下に、開発途上国が貧困から抜け出す発展という道(先進国が歩き、その後に続くよう彼らに促した道)の前に立ちはだかっている。

私たちに実際突きつけられているのは、南の国々の人々の暮らしを向上させながら、温暖化ガス排出量を劇的に削減しなければならないという課題である。言うまでもなく、これは現在山積する問題の中でも最大の難問だ。その課題はどうやったら乗り越えられるのか? 私たちに残された手段は何なのか? 今月は、今日高まっているクライメート・ジャスティス(気候の公平性)の運動にそのヒントを求め、現実的で有効な方策を探る。
 

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● NI No.419 目次 ●


(本文は英語です)


*<NIJ>の表示がある記事は、NIジャパンに翻訳が掲載されています。


2 読者の声

4 気候変動という政治問題<NIJ>
地球温暖化は予想以上の早さで進行している。そして、世界の貧しい人々、特に開発途上国の人々が、その影響による干ばつ、洪水、熱波、超大型台風、海水面の上昇などの被害を最も受けている。しかし現在主流となっている温暖化対策の取り組みは、これまで温室効果ガスという原因物質を排出し続けてきた先進国の責任を回避する類のものだ。しかもそのような対策は、温暖化の被害者であり深刻な貧困に苦しむ途上国に対して、先進国がこれまで享受してきた発展の実りを我慢するよう強いている。先進国も途上国も協力でき、温暖化対策と発展を両立できる公平で有効な対策とはいかなるものなのだろうか。

8 クライメート・ジャスティスを目指すための4つの原則<NIJ>

世界各地でさまざまな社会運動が結びつき、クライメート・ジャスティスの実現を目指している。その根本的な4つの原則を見てみよう。

9 温暖化の現実に目覚めよ
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2007年に出した報告書には、ますます深刻化する地球温暖化の行方が描かれていた。しかし各国の政府は、事の重大さをいまだに直視していない。

10 途上国の現状に合わせた現実的な気候変動対策を
豊かな生活を達成し、その生活様式からくる公害や廃棄物に長年悩んできた先進国。先進国の環境運動は、そんな中で生まれ発達してきたものである。他方途上国では、森の恵みや川の水、汚染されていない農地などの自然に依存した最低限の生活を守るため、ダム建設や森林伐採、鉱山開発や大規模プランテーションの進出に反対し、環境運動が盛んになってきた。この両者を結びつけるこれからの環境運動と気候変動対策について考える。

12 クライメート・ジャスティス ─ その事実<NIJ>
世界では、気候変動による影響を、誰が、どのくらい、どのように受けているのだろうか。そしてまた、誰がその原因を作っていて、この地球はどんな状態にあるのだろうか。図表とデータで示す。

14 炭素取引の行方
温暖化対策の切り札として各国政府と企業が力を入れている炭素取引。しかしすでに以前から、市民団体や研究者だけでなく、ウォール・ストリート・ジャーナル紙やニューズウィーク誌などのメインストリームメディアからも実効性に疑問を投げかけるデータが示されている。つい先日崩壊した金融市場の仕組みに依拠しているこのシステムは、炭素取引価格暴落の影響もあり、今日増々旗色が悪くなっている。しかしそんな中、政府と企業は以前としてこの偽りの温暖化対策を高く支持し、一部NGOも相変わらず後押しをしている。はたして、そこにはどんな裏事情があるのだろうか。

16 地中の資源には手をつけるな
先進国では、石炭火力発電所などから排出した二酸化炭素を地中に貯留する技術の導入を急いでいる。そこには、この未完成な技術によって、石炭や石油をクリーンなエネルギーと見なすことができるという考え方がある。だが、そんな不確かな技術を使わずとも、化石燃料を採掘しなければそれが燃やされることもなく、二酸化炭素が排出されることもない。このような考えの下、体を張った抵抗を行う人々の様子をナイジェリアと英国から報告する。

18 システム・エラー(マンガ)
気候変動対策を今実行しなければならないのはなぜか?

19 気候変動対策の今後<NIJ>
地球温暖化対策は、この地球上のすべての国々が協力して行わなければ意味がない。それには、先進国と途上国それぞれの利己的な利害を超えた公平な観点から、対策の枠組みを組み立てる必要がある。

20 議論されている排出量削減の方法<NIJ>
あと数年で期限を迎える京都議定書から、その京都議定書後をにらんだ提案であるKyoto2、そして排出権取引から炭素税まで、8種類の方法について公正さ、有効性、現在の支持などについて評価した。

23 目標に向かう道<NIJ>
今後の気候変動対策において決定的な会議になると言われているCOP15が今年12月にコペンハーゲンで開かれる。重要なことは、その会議の会場で何か行動を起こすのではなく、その会議の内容に影響を与えるよう今すぐに行動を起こすことだ。

24 団結が生んだ再生可能エネルギー<NIJ>
協同組合として組合員が管理するミニ水力発電ダムを利用し、自前の電力供給を実現したブラジルの農村のコミュニティー。次に彼らは、サトウキビを利用したバイオ燃料の生産に成功し、野菜や食品の出荷に使う自動車の燃料の自給を達成した。このような電力と燃料の自給を目指す動きが、ブラジルで少しずつ広がっている。

26 冷静に行動しよう!
効果的に気候変動対策活動に取り組むヒントと、活動団体の情報。


【Special Feature】

クリーン・スタート ─ より公平なグローバル経済の構築へ

27 新しい、グリーンで民主的な取引
金融、社会、環境の危機がいかにして衝突したのか。そこから生じる危険とチャンスについて、スーザン・ジョージとウォールデン・ベローが議論する。

29 開発途上国の金融危機
今のところ、金融危機で大きな影響を受けているのは先進国であるが、それが途上国に及ぶのも時間の問題である。


31 世界のニュース
採掘企業との闘い(シエラレオネ)/動物工場での動物の待遇(アニマル・ライツ)/カザフスタンの被爆者(核兵器)/チャベスの銀行(経済)/ほか

32 ビッグバッドワールド(風刺漫画)
ホッキョクグマの壊れやすい希望。

34 南の国からの一コマ
ブラジルの先住民族のボディーペインティング。

35 ワールドビーターズ
米国のコロンビア大学の法科大学院を卒業したグルジアのミヘイル・サーカシヴィリ大統領は、権力に酔いしれた政治家の典型である。グルジアを民主化に導くと期待されたサーカシヴィリだったが、それは期待はずれに終わり、外交面では米国への盲従によって地域外交で苦しいかじ取りを強いられている。

36 社会を揺さぶる人々
領海のすき間を利用し、国際法をたてにして、ガザの封鎖をぼろぼろの漁船で突破したジェフ・ハーパーに、イスラエル─パレスチナ問題の今後について聞いた。

38 NI ジャンボ・プライズ・クロスワード

39 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

42 エッセー:コンクリートの夢
インドでは、貧困層に対する風当たりがかつてないほど強くなっている。中流層は貧困層をなまけものという目で見て差別し、行政や都市計画担当者は、地方の極貧を逃れて都市に流入してきたスラムの住人を避難民というよりは不法滞在者や違法占拠者という目で見て、都市を「浄化」したいと考えている。

44 世界の国のプロフィール:ベラルーシ



● NIジャパン No.107 目次 ●

(本文は日本語です)

 

書店に並ぶのは3月20日頃の予定です


A5判・モノクロ・48ページ
定価(本体600円+税)

ISBN978-4-8113-0502-8


2 イントロダクション ─ クライメート・ジャスティスについての考察


4 気候変動という政治問題(NI p4-7の翻訳)


世界は、気候変動が原因で起こる大惨事に続く道を突き進んでいる。しかし今、その半ばで最初の転換点が訪れた。だが現在目の前に並べられているのは、権力にしがみつく者たちが提案するほんのわずかな偽りの解決策だけである。このような状況の中で、クライメート・ジャスティス(気候の公平性)運動に希望の光を見いだしたジェス・ワースが、その理由を報告する。

 今回の特集号のために調査と取材を進める間、私は警官隊に襲われ、大臣と会合を持ち、英国で最も名高い時事問題評論テレビ番組であるNewsnight のインタビューにも応えた。こんな多様な経験をしたのも、「クライメート・ジャスティス」が私にとって単なる雑誌のテーマ以上のものだからだ。このテーマは、現代における最も困難で大きな課題である。だからこそ私は、何かできることをしようと決め、自分自身でその真っただ中に飛び込んだのだ。
 しかし、ひとつ予想外だったのは、銀行からロビー活動を受けたことだ。
 それは昨年10月、英国議会において「ヤスニ・グリーン・ゴールド」キャンペーン[訳注1]が始まった時で、New Internationalist(NI)が、アマゾンの熱帯雨林の一角にあるエクアドルのヤスニ国立公園の素晴らしい生物多様性(これが石油採掘によって破壊される危険に直面していた)をおさめた写真集を出版したころだった。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

18 クライメート・ジャスティスを目指すための4つの原則(NI p8の翻訳)

人間の活動が原因となっている気候変動。それは、数十億の人々の命と生活、数百万という生物種の生存を脅かすものである。私たちは、温室効果ガスの排出量を劇的に減らさなければならないが、それと同時に、世界の多くの人々の生活レベルを向上させる必要もある。世界各国で行われている社会運動では、周囲の人々に切実に訴えかけるひたむきな行動を、次に挙げる原則に基づいて始めるように呼びかけている。

1. 富裕国の責任を認める

気候変動に適応するための負担は、気候変動の原因を作った国々が負うべきである。それはつまり、以下のような負担のことだ。

・北の先進工業国の温室効果ガス排出量を2050年までに90%削減する。
・過剰消費に結びつく過剰生産をやめる。また、北の先進国と南の開発途上国のエリートによる無駄な消費を劇的に削減する。
・北の国々は、南の国々が必要としている気候変動の変化に適応するための費用を支援しつつ、持続可能な方向での発展を引き続き目指す。この富の移転は、富裕国が貧困国に「環境的負債」を負っているという原則に立って行われるべきものである。また、この移転は、民主的な管理監督の下で行われなければならない。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

20 クライメート・ジャスティス ─ その事実(NI p12-13の翻訳)
世界では、気候変動による影響を、誰が、どのくらい、どのように受けているのだろうか。そしてまた、誰がその原因を作っていて、この地球はどんな状態にあるのだろうか。図表とデータで示す。

27 気候変動対策の今後(NI p19の翻訳)

今年の12月、コペンハーゲンで「気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)」が開かれる。その会議において、クライメート・ジャスティスは達成されるのだろうか? ダニー・シバースがその可能性について探る。

同じボートの上で

 遭難した10羽のウサギが巨大なニンジンでできたボートに乗って、海を漂流しているとしよう。
 食べるものはそのニンジンしかないため、ウサギたちはボートを少しずつかじっている。ボートはどんどん小さくなっていくが、どのウサギもそれをやめようとはしない。なぜなら、かじるのを最初にやめたウサギが最初に飢えるからである。この状況では、10羽が一斉にかじるのやめなければ問題は解決しない。たとえ1羽でもかじっているウサギがいれば、ボートは沈んでしまうのだ。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

30 議論されている排出量削減の方法(NI p20-22の翻訳)
あと数年で期限を迎える京都議定書から、その京都議定書後をにらんだ提案であるKyoto2、そして排出権取引から炭素税まで、8種類の方法について、公正さ、有効性、現在の支持などについて評価した。

38 目標に向かう道(NI p23の翻訳)
今後の気候変動対策において決定的な会議になると言われているCOP15が今年12月にコペンハーゲンで開かれる。だが、私たちに必要とされていることは、その会議期間に会場近くで活動するべく準備を行うことではない。その会議の内容に影響を及ぼすためには、今からすぐに働きかけを始めなければならないのだ。

41 団結が生んだ再生可能エネルギー(NI p24-25の翻訳)
協同組合として組合員が管理するミニ水力発電ダムを利用し、自前の電力供給を実現したブラジルの農村のコミュニティー。電力の次に彼らが目指したのは燃料だった。サトウキビを利用して、自家消費用にバイオ燃料を生産し、野菜や食品の出荷に使用する自動車の燃料の自給を達成した。このような電力と燃料の自給を目指す動きが、ブラジルで少しずつ広がっている。

46 もっと知るためのネタ帳

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