2008年8月号

NI No.414 & NIジャパン No.102

途上国のトイレ事情 ─ トイレがない26億人の人々
We need to think about Toilets

  世界では、いまだに26億人がトイレなどの最低限の設備なしで暮らしている。そして、そんな非衛生的な状況も原因となり、毎年200万人(ほとんどが子どもたち)が下痢によって死亡している。人間であれば、毎日排せつ物を出しながら暮らしており、それは完璧な聖人であっても生理学上避けることはできない。しかし、この類の話はどの文化でもタブーとされ、あまり語られることはなかった。水洗トイレが行き届いた豊かな国や地域では、レバーを押したり引いたりすれば排せつ物は流れていく。そんなシステムが当たり前になると、流れた先ではしかるべき処理が行われ、そのおかげで大地や河川を汚染せずにすんでいることなどもう誰も気にしていないのかもしれない。国連は、このトイレと衛生の問題が注目を集めて解決への方策が実施されるよう、2008年を国際衛生年に定めた。そのおかげで、この話題も少しずつ語られるようになってきたようだ。今回は、途上国の衛生とトイレについて考える。

 

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● NI No.414 目次 ●


(本文は英語です)


*<NIJ>の表示がある記事は、NIジャパンに翻訳が掲載されています。


2 読者の声

4 トイレの話をしよう<NIJ>
国連は2008年を国際衛生年と定めた。この決定は、世界の深刻な衛生状況に対する懸念を表明し、国際社会の注目を引きつけ、取り組みを促そうとする試みである。しかし果たして、それは思惑通りにうまく進むのだろうか。

8 トイレ ─ その事実<NIJ>

世界の衛生状況の現状、健康に対する脅威をデータと図で示す。

10 インドのふん便清掃人

溝を掘っただけの公共トイレ。人々はそこにしゃがんで用を足す。そのふん便を手袋もせず、簡単なほうきとブリキ板2枚で集めてバケツに入れ、それを担いで集積場に運ぶ清掃人。インドでこのような仕事に従事しているのはほとんどが女性で、さらには「不可触民(アンタッチャブル)」と呼ばれる人々である。


12 下水道派vsエコトイレ派
トイレの完成型と多くの人々が信じている水を流して汚物を処理する下水道システム。しかし、地球のあちこちで水不足の懸念が叫ばれるなか、水を使わずに自然の力で汚物を処理する乾式トイレ(エコトイレの原型となったもの)が復権を果たしつつある。

14 トイレの歴史と仕組み<NIJ>
水洗トイレはいつから始まり、どのように進化してきたのか。また、下水道や浄化槽が整備されていない途上国などではどんな仕組みのトイレが現在使用されているのだろうか。さまざまなトイレのイラストとともに説明する。

16 女性の尊厳とトイレの関係<NIJ>
女性にとって、トイレは衛生の問題では片付けられない。それは、尊厳と利便性の問題でもあるのだ。トイレがない場所に住む女性たちの苦労と改善の取り組みについて。

18 トイレ普及の伝道者たち

トイレ普及と衛生状態の改善のために、現場で取り組む人々の思いと活動を紹介する。

20 私たちの対策
下水道が普及している場所で使えるエコトイレについて。


【Special Feature】

21 技術革新:気候変動の対策か、はたまた企業利益追求の手段なのか
科学の進歩は地球を救うことができるのだろうか? それとも、これまで数多くの環境破壊の元凶となってきた科学に対し、信頼を置のは避けるべきことなのだろうか?




25 世界のニュース
受刑者の子ども(人権)/迷信によって殺される白子の人々(タンザニア)/公平な治療を求めて(HIV/エイズ)/「殺人を拒否して」拷問を受ける(トルコ)/ほか

28 ビッグバッドワールド(風刺漫画)
あわただしく際限ない現代の消費レース。

29 ワールドビーターズ

ネルソン・マンデラのように国のかじ取りを行っていくことは容易ではない。とはいえ、南アフリカの大統領としてのターボ・ムベキの仕事ぶりは、決して褒められたものではないだろう。

30 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

32 モンテビデオで考える
モーセの十戒の8番目は、「隣人について偽証してはならない」である。最近の新しい情報から明らかになった、世界の貧困層、イラクの戦費などに関する偽証について語る。

33 社会を揺さぶる人々
右派民兵組織に立ち向かう危険性について、コロンビアのFEDAGROMISBOL(南部ボリバール農民鉱夫連盟)の創設者、テオーフィロ・アクーニャ代表に聞く。

34 南の国からの一コマ
バングラデシュの首都ダッカを流れるブリガンガ川。極度の汚染されたその川の土手に住む人々の姿と営み。

36 世界の国のプロフィール:ドミニカ国<NIJ>

● NIジャパン No.102 目次 ●

(本文は日本語です)

 


A5判・モノクロ・48ページ
定価(本体600円+税)

ISBN978-4-8113-0240-9


2 イントロダクション ─ トイレ、衛生、南北格差


3 考えるためのネタ帳
下痢について考える。

4 トイレの話をしよう(NI p4-7の翻訳)


2008年は「国際衛生年」である。新しい衛生の大変革を引き起こすための動きについて、マギー・ブラックが報告する。

 ちょうど150年前の異常に暑い夏だった。ロンドンを流れるテムズ川は水量が減り、胸のむかつきを覚えるほどにおいを放つ細流となっていた。周囲に充満した「大悪臭(GreatStink)」はもん絶するほどで、ウェストミンスターの議会もほとんど開会できないありさまだった。コレラの恐ろしさはまだあまり知られておらず、川からのにおいはペストに関係するものだと思われていた。
 この脅威は、通常は胸がむかつくほどひどい国会議員の法案審議にも集中力をもたらした。ジョゼフ・バザルジェット卿は、300万ポンドという公共予算では聞いたこともないような大金を投入してロンドンの下水道整備を行うという法案を提出し、それは大急ぎで採決された。やがてそれは先進工業国の地方行政府と公衆衛生工学の革新的な発展につながった。(1) 当時、イラストレーテッド・ロンドン・ニュース紙は、次のような社説を掲載した。「レッセフェール(無干渉主義)は、貿易においては最良の行動原則である。しかし、有害物質の発生に関してレッセフェールを許容できるのは、政治と行政分野の大ばか者たちぐらいである」
 このような考え方が、強烈な印象とともに今日取り上げられていれば、と非常に残念に感じる。現在でも、未処理の排水が直接流れ込み、暑い季節には流量が減少するような川からは、世界中どこでも大悪臭がごく普通に放たれている。例えば、急な斜面に囲まれたホンジュラスの首都テグシガルパを流れるチョルテカ川は、この町の空気をひどい代物にしている。しかし今日の大悪臭がもたらす不安感は、かつてのレベルにまでは達しておらず、問題の深刻さから言ってもそれは残念なことだ。現代においても、昔と同じ程度にまで関心を高め、莫大な公的資金を投入することが必要とされている。尿とふん便は、人間であれば誰でも毎日対処しなければならない体からの排せつ物である。しかし、世界の人口の4割にあたる26億人の人々は、それらを適切に処理するすべを持たない。このような状況に置かれた人々のために、高い関心と資金が必要とされているのだ。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

18 トイレ ─ その事実(NI p8-9の翻訳)

26 トイレの歴史と仕組み(NI p14-15の翻訳)

毎日用を足すその場所を、私たちはさまざまな名前で呼んでいる。気取った人々は古めかしく「lavatory」と言うが、米国人は、横になってまどろむ場所の意味もある「restroom」という言葉を使う。
 品のない言葉と考えられているにもかかわらず、「toilet」は国際的にもよく使われる言葉となり、公式な文献にも最もよく登場する言葉である。この言葉は、衛生と身だしなみの概念を結びつけるフランス語の「toilette」に由来する。これまでトイレの進化を強力に後押ししてきたのは、公衆衛生に関する不安よりも、清潔感と利便性を追求する文化的な考え方である。
 排せつ物の貯蔵と処理は、やがて「乾式」から「湿式」へと変化していった。磁器製の便器、U字型の管による水封式[訳注1]、そして下水道との接続は、19世紀終わりにようやく西洋で広まったものである。それは徐々に土砂散布式トイレ、屋外での排せつや簡易トイレなどの「乾式」システムに取って代わり、排せつ行為の場を屋内に移すという革命をもたらした。
 今日必要とされている衛生の大変革では、より正しい環境配慮がされ、そしてまたたい肥作りもできるタイプのトイレである「乾式」が再登場しているが、それは、コストのかかる下水道整備と流すときに使う水の浪費という点が考慮された結果である。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

34 女性の尊厳とトイレの関係(NI p16-17の翻訳)

衛生分野の専門家は、トイレ建設は保健医療分野の支援にあたると考えている。しかし女性たちは、それをかなり違ったものとしてとらえている。そのわけをリビー・プラムが探る。

 「プライバシーを保てる場所がどこにもなくて、私たちは用を足すことができません。外に出かけると、男の子たちがよくついてきました。恥ずかしい気持ちとともに、恐いと感じたものです。結局は子どものように家の床にして、掃除をしていました」。インドのグワリオールに住む15歳のバビーは、トイレのない家で用を足す方法について勇気を振り絞って説明してくれた。個人的で微妙な側面を持つため、排せつについて語ることはタブーとなっており、開発途上国では思春期の少女はもちろん、多くの成人女性にとっても進んで人前でするような話題ではない。
 女性たちはトイレを欲しがっているし必要としているが、そのような声を上げることは過度に抑制されている。トイレを利用できるか否かは女性の尊厳にかかわることである。慎み深さを非常に大事にする文化では特にそれが当てはまる。だが、それが話題に上らないということは、女性が抱える問題への対応の優先順位が非常に低くなっているということである。資金力や政治力によって状況の改善を図れる立場にいる人々、それはほとんどが男性であるが、特に彼らのこの問題に対する優先度は低い。このような矛盾により、女性たちは絶えず不快、不安な状態で毎日を暮らしている。インドの道路脇では、日中でも成人男性や少年がしゃがんで用を足している姿が見られるが、女性や少女が同様の行動をとることは考えられない。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください


40 もっと知るためのネタ帳

42 世界の国のプロフィール:ドミニカ国(NI p36の翻訳)


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