2008年3月号

NI No.409 & NIジャパン No.97

人と地球にやさしい旅へ
〜 観光インパクトと地球温暖化を考える
Ethical Travel

   海外旅行は身近になり、秘境やエキゾチックな場所を求める傾向がより強まっている。その一方で、旅行者や旅行産業による観光地への悪影響や、飛行機から排出される地球温暖化ガスの影響に懸念が広がり、観光のあり方に疑問を突きつけている。
 どの国でも、より多くの観光客に足を運んでもらいたいと強く思っていることは確かだ。しかし、旅の足となる交通機関からの炭素排出量増加が懸念され、特に航空業界には大きな課題となっている。そもそも、地球温暖化が問題となっている中、飛行機をやたらに利用することは倫理的に正しいことなのだろうか? そしてまた、観光客が押し寄せる観光地では、地元の人々や文化を利するどころか、明らかな弊害をもたらす場合も少なくない。特に開発途上国に出かける場合、旅行者自身が楽しく貴重な体験をするだけでなく、旅行先の国やコミュニティーにとってもプラスになるような旅行をするには、どのようなことに気をつけたらよいのだろうか?
 今回のNI & NIジャパンでは、倫理的な観点から旅行について考える。

 

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● NI No.409 目次 ●


(本文は英語です)


*<NIJ>の表示がある記事は、NIジャパンに翻訳が掲載されています。


2 読者の声

4 飛行機の利用と地球温暖化<NIJ>
地球温暖化の進行に懸念が広がる中、飛行機が温暖化に及ぼす影響に注目が集まるようになってきた。排出量全体から見れば、飛行機が占める割合はまだ少ないものの、一度の利用で発生する排出量は、自動車の運転や家庭で使用する暖房による排出量とは桁違いである。しかも今後、飛行機の利用は増加すると予想されている。グローバル化した今日の世界に不可欠となった飛行機の利用を、温暖化が進む中で私たちはどう考えていけばよいのだろうか。

10 空の旅を減らすための10の方法<オンラインリポートに一部掲載>
その考え方と具体的な方法について。
 →この記事を読む

12 パラダイスに立ちこめる暗雲
観光地にはかつてないほど多くの観光客が訪れ、世界的な観光地は大規模な投資を行い、観光産業は活況を呈している。しかしその陰では、恩恵にあずかれないだけでなく、マイナスのインパクトを受けている人々もいる。最近の観光ブームの光と陰を報告する。

15 倫理的な旅行とは<NIJ>
観光地の環境や社会に負の影響をもたらすこともあるマス・ツーリズム(大衆観光)。その反省から生まれたオルタナティブ・ツーリズム(もうひとつの観光)と呼ばれる観光の意味を考える。

17 もうひとつの観光のかたち<NIJ>
オルタナティブ・ツーリズム(もうひとつの観光)のひとつとして知られる「コミュニティー主導の観光(Community-based tourism)」の実例について、タイから報告する。

18 ニュー・インターナショナリストの旅の心得<NIJ>
旅先で、特に開発途上国と呼ばれる国々に行った時、私たちはどのようなことに気をつけて行動すればよいのだろうか。

20 行動するための参考情報
書籍情報と活動団体情報に加え、「ロンリープラネットをボイコットせよ!」を掲載。


【Special Feature】

21 近代的な洪水対策の失敗と教訓

大規模な洪水が世界的に増加している。地球温暖化もその一因として挙げられているが、そもそもこれまで行われてきたダム、堤防、用水路といった洪水対策の考え方に欠陥があることは否定できない。これまでの洪水対策がなぜ機能しなかったのか? これからはどのような考え方に基づいて洪水対策をするべきなのだろうか?



25 世界のニュース
夫としゅうとめからのドメスティック・バイオレンス(タジキスタン)/あきれた企業活動(ヨーロッパ)/沈みゆく島の現在(パプアニューギニア)/労働者搾取とかん口令(インド)/ダルフール問題で存在感を増すエジプト(スーダン)/ほか

28 ビッグバッドワールド(風刺漫画)
ホワイトハウスに出没する幽霊について。

29 ワールドビーターズ
彼らの行く先々では、勢ぞろいした人々が丁寧に出迎え、豪華な料理が用意され、いったんことが決まれば都市計画にも大きな影響を及ぼす。その彼らとは、国際オリンピック委員会(IOC)。巨大な力と資金力にもかかわらず、その実情は不透明であり、この時代にはふさわしくないタイプの組織である。

30 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

32 南の国からの一コマ
インドのコルカタの若いセックス・ワーカーのポートレート。

33 ハバナで考える
キューバの未来について。

34 エッセー:哀れみと援助が必要な理由
経済が急成長を続け、中流階級が拡大し、ハイテク産業が盛んなインド。好調な経済に沸き、子どもの教育の権利が認められているにもかかわらず、貧困に沈み、満足な教育も受けられない子どもはまだまだ多い。なぜそんな状況に陥っているのだろうか。

36 世界の国のプロフィール:ブルネイ<NIJ>

● NIジャパン No.97 目次 ●

(本文は日本語です)

 


A5判・モノクロ・48ページ
定価(本体600円+税)
ISBN978-4-8113-0235-5


2 イントロダクション ─ 旅のインパクトを考える時代

3 考えるためのネタ帳
今月のトピックに関する基本情報やトリビア。

6 飛行機の利用と地球温暖化(NI p4-9の翻訳)


何気なく利用している飛行機。しかし現在、気候変動要因のひとつとして、飛行機が排出する地球温暖化ガスの影響が懸念されている。今日の人間社会において単純には割り切れないこの問題へのアプローチを、クリス・ブレイザーが模索する。

 英仏海峡上空にさしかかった機内に、機長のアナウンスが流れた。「現在ヒースロー空港では、飛行機の旅が気候変動に及ぼす影響を懸念した人々が抗議活動を行っており、多少の混乱が生じています。当機の運航へは特に支障ありませんが、空港では通常よりも多くの警察官が警備にあたっておりますので、驚かないようにあらかじめ心の準備をお願いいたします」
 そのアナウンスはユーモアが感じられるものだった。ただそのアナウンスからは、乗客全員が、「過激な」キャンペーン活動家の行動を快く思わない「分別ある」旅行者だろうという考えが明らかににじみ出ていた。
 2007年8月のこの日、私はその機内にいてアナウンスを聞いていた。私は機長が想像していたようなタイプの乗客ではない。むしろ、地上のクライメート・キャンプというイベントで抗議活動を繰り広げていた活動家に近い心情を抱いている。ではなぜ私が飛行機に乗っていたのか? それは鋭い質問だ。私は家族と一緒にイタリアでの休日を過ごした帰りに、たまたまその飛行機に乗り合わせたのであった。前回、その数年前のイタリア旅行では、私たちは車を使った。そして帰りがけにはルクセンブルクとスイスを見て回り、時間をかけて休み休み帰ってきた。今回は、旅行計画自体は1 年ほど前から決めていたが、その時すでに私の仕事と娘の試験結果発表の予定が決まっており、日程には余裕がないことが分かっていた。そんな事情もあり、良心の痛みを感じなかったわけではないが、信じられないほど安く、数日ではなく数時間でイタリアまで私たちを運んでくれる飛行機を利用することにしたのである。
 この旅の事情は、今回のテーマを調べ始めた時の出発点ともなった。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

25 倫理的な旅行とは(NI p15-16の翻訳)

いろいろな考え方に基づいて「倫理的な」ツアーが行われている。しかし、「倫理的」とはいったい何を指しているのだろうか? クリス・ブレイザーがその意味を探る。

 「私たちの事務所にやって来たのはケニア人の男性でした」と言いながら、英国の民間団体「ツーリズム・コンサーン」のトリシア・バーネットは当時を振り返る。「彼はマサイ民族で、キリスト教の聖職者でもあり、その時はちょうどロンドンに研修に招かれていたのです。彼は言いました。『あなた方の助けが必要です。私たちのコミュニティーは深刻な問題を抱えています。すべての富はマサイマラ[ケニア最大の野生動物公園で、実に多くの観光客が訪れる]に集まってしまい、私たちは極貧の暮らしをしています。そんな状況もあり、牛4頭を売って4張のテントを買うことに決めました』。マサイにとって、牛を売るというのはとても大変な決断です。彼らは観光客を泊めるためにテントを買ったのですが、観光客の呼び込み方が分かりませんでした。なりふり構っていられないので、道路脇に立って旗を振るというようなことまでして、四輪駆動車に乗った観光客を呼び込もうとしたそうです。そこで私は、『倫理的』な側面に配慮している旅行業者を彼に紹介しました。そしてまた、彼のマサイ・キャンプを私たちの『倫理的な旅ガイド』にも掲載しました。でもこのケニア人のことはそれ以来すっかり忘れていたのです」

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

31 もうひとつの観光のかたち(NI p17、20の翻訳)

「コミュニティー主導の観光(Community-based tourism)」の考え方は、非の打ちどころがないくらい素晴らしいものだ。しかし、本当にその理念を実践することは可能なのか? その現実を探るべく、タイのヤオノイ島(Koh Yao Noi コーヤオノイ)に向かったマルワン・マカン・マルカルからのリポート。

 高床式のシンプルな木造の家からは静かなパンガー湾を望むことができる。ワンニ・ルーエンサムートがこの家に訪問者を受け入れるようになって1年近くがたつ。訪問者といっても、親せき付き合いに疲れ果てた38歳の子連の母親などという人々ではない。ここにやってくる訪問者とは、近くにあるありふれた大規模観光リゾートのプーケットなどから、新しいものを求めてやってくる観光客である。ワンニはこれまで10団体ほど観光客を受け入れてきたが、やってくるのは外国人だけでなくバンコクなど国内からの観光客もいる。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

36 ニュー・インターナショナリストの旅の心得(NI p18-19の翻訳)

40 もっと知るためのネタ帳
今月のトピックをもっと深く知りたい、何か行動したいという人のための日本の情報源。

42 世界の国のプロフィール:ブルネイ(NI p36の翻訳)

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