2007年8月号


途上国の写真家が撮った途上国の姿
Southern Exposure

 

裕福な北の先進国では、アフリカ、アジア、ラテンアメリカなど南の途上国のイメージが数え切れないほど消費されてきた。そのイメージは、しばしば各地域からのニュースとともに流されたり、国際協力団体や慈善団体の寄付を募るアピールに使われたりしてきた。だが、実際どれほどのイメージが、南の人々の手によって撮影されたものなのだろうか?

インターネットとデジタル写真技術の普及のおかげで、現在は南の国の写真家でも容易に自らの現実を多くの人々に発信することができるようになった。しかし、実際の状況はそれとは異なっている。情報の流れは、依然として欧米のメディアとその支配者たちの手に握られており、その支配はより一層強まっている。

今月のNIでは、写真家のシャイダル・アラム(バングラデシュのフォトエージェンシー「ドリク」の創設者)をゲスト編集長に迎え、途上国の写真家の現状とドリクの軌跡、フォトエージェンシー業界の動向について紹介する。そしてまた、彼が選んだ南の国の写真家が撮った魅力的な写真の数々を見ながら、欧米メディアから抜け落ちているものについて考えてみる。

 

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● NI No.403 目次 ●


(本文は英語です)


*<NIJ>の表示がある記事は、NIジャパンに翻訳が掲載されています。

2 読者の声

4 途上国のフォトエージェンシーの苦悩と成長<NIJ>
  The Majority World looks back
被写体としてそのイメージが北で消費されてきた南の国々。自分たちはどう表現されるべきなのか、自らの手で示す南の写真家とフォトエージェンシーが増えている。その先駆けとなったバングラデシュのフォトエージェンシーは、新たなイメージを発信して、社会正義の追求と南北問題の解決を目指している。


10 フォトエッセー:存在の証明
  GALLERY -  Belongings: felt, presented, challenged
バングラデシュ、イラン、南アフリカ、スリランカからのイメージ

12 パッシャラ写真学校がたどった成功まで道のり<NIJ>
    A true Pathshala
バングラデシュのユニークな写真学校の試みに世界から著名な写真家が講師として参加し、現在その教え子たちは世界で活躍するようになった。

13 写真が変わった、そして世界も変わるだろう<NIJ>
  We were going to change the world
写真学校の卒業生が語る、学生たちのユニークな経験と学校への思い。

14 フォトエッセー:現実に向き合う人々と日常と<NIJ>
  GALLERY - Lifecycle: with few exits
ネパールとバングラデシュからのイメージ。

16 フォトエッセー:つらさを乗り越えて<NIJ>
  GALLERY - Coping with pain
インドとバングラデシュからのイメージ。

18 フォトエッセー:消えゆく暮らしと新たな渇望<NIJ>
  GALLERY - Lifestyles: disappearing and aspired
日本とバングラデシュからのイメージ。

20 アクション<オンラインリポートに掲載>
  Action
マジョリティー・ワールドの写真家たちを支援するウェブサイトと団体情報。

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【Special Feature】

21 待ちこがれた平和の行方
  The long wait for peace

20年にわたる内戦が続く北ウガンダは、暴力を終わらせる交渉妥結までもう一歩のところにあるといえるのかもしれない。しかしそれは、住まいを追われ恐怖に陥れられたその地域の女性や子どもの生活を取り戻してくれるのだろうか?

25 世界のニュース <NIJとメルマガで一部を掲載/配信>
自由へのラジオプログラム(メディア)/無礼なもてなしをするイラン政府(人権)/オバケODAの実態(援助)/米国製軍隊の国(リベリア)ほか

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28 ビッグバッドワールド(風刺漫画)<NIJ>
彼は極端な世間知らずなのだろうか。

29 社会を揺さぶる人々
歌手、そして「World Citizen(世界市民)」であるデヴィッド・シルヴィアンのインタビュー。

30 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

32 南の国からの一コマ
マラウイのアーティストが描いたマラウイの暮らしの一コマ。

33 ハバナで考える
昔の文学作品の方が優れているという人がいるが、必ずしもそうとは限らない。だが確かに、読者の好みも含む出版業界の環境の変化が今日の作品に影響を与えているということはあるだろう。

34 エッセー:国家の敵
中国政府からカルトと見なされ激しい弾圧を受ける気功集団「法輪功」。そもそも法輪功とは何なのか、そして弾圧の原因はどこにあるのだろうか?

36 世界の国のプロフィール ― カンボジア<NIJ>


 

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● NIジャパン No.91目次 ●

(本文は日本語です)

 

1 イントロダクション ― 被写体の気持ちと多面的な現実

2 今月のNIゲスト編集長より(NI p2からの翻訳)

3 途上国のフォトエージェンシーの苦悩と成長(NI p4-9の翻訳)

インターネットとデジタル写真技術の登場により、現在は南の国の写真家でも容易に自らの現実を世界のメディアに向けて発信することができるようになった。しかし実際には、古くからの偏った見方はそう簡単には変わらない。一体そこにはどんな理由が横たわっているのだろうか。そして、この問題に対してどんな取り組みが行われ、いかなる結果がもたらされているのだろうか。ゲスト編集長として今号の制作をとりまとめたバングラデシュのフォトエージェンシー、ドリク(Dirk)の代表シャイダル・アラムが語る。

 それはある開会式だったが、まるで英国の開発援助関係の紳士・淑女の集まりを見ているようだった。そこには、ミレニアム開発目標(MDGs)、貧困を過去のものにしようキャンペーンなど、崇高な動機を支持する人々が並んでいた。
 はしゃぎすぎのボブ・ゲルドフ[訳注:アイルランドのミュージシャン。世界的なチャリティーコンサートやイベントを開き、開発援助に関する発言も世界的に注目を集める]は大目に見てもいいだろう。ゲルドフは開発援助団体のスタッフでもなければ特にその方面に詳しいわけでもないからだ。しかし、ロンドンのサウスバンク地区にあるオクソタワーで行われた「にぎやかなイベント」の主催者が、文化的配慮に欠けたイベントを企画したことは明らかだった。
 アフリカからやって来たわずかな黒人の若者たちによる「開発」の美徳を称賛するパレードを除けば、そこにはマジョリティー・ワールド(世界の過半数が住む南の開発途上国)の参加はほとんど見られなかった。主な講演者は、相変わらず欧米の白人の開発援助関係者で、南の国々の貧しい人々を助けるために彼らが担ってきた役割について話した。そして、褐色の肌の人々が参加して果たした象徴的な役割は、すぐに忘れられてしまった。
 この式典の目玉は、「世界を変える8つの方法(Eight Ways to Change the World)」と題された写真展である。ここで展示されている写真は、すべて欧米の白人が撮ったものだ。しかし、このような試みが何を意味するのか疑問の声を上げる者は皆無だった。私が主催者のひとりと激論を交わした時その人物は、学芸員(欧米のフォトエージェンシーの代表)が南の国々の写真家を起用しないという決定を下したのは、「彼らには写真を撮るための見識が備わっていない」という理由からである、と言った。それは、欧米の人々の洗練された視覚言語的能力は、恐らく南の写真家の能力を超えており、クリエイティブなレベルでの能力は言わずもがなだという考えである。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

14 パッシャラ写真学校がたどった成功まで道のり(NI p12の翻訳)

シャイダル・アラムが語った、異色な写真学校誕生のいきさつ。

 パッシャラ(Pathshala)とは古来からのサンスクリットの単語で、学びの座という意味があり、一般的には開かれたスペースにあるマンゴーの木の木陰を連想させるものだ。そこには壁はなく、教室もなく、型にはまった体系もなく、集まった子どもたちは賢人の話に耳を傾ける。そこは、知恵が受け継がれる場所なのである。
 私たちは、イメージが持つ言語的側面を、西洋のヘゲモニー(覇権)に立ち向かうための、またバングラデシュ国内の社会の不平等に取り組むための道具であると結論付けた。そして、それを実現するため、ドリクは基本的な準備を始めた。
 そのような取り組みに向け、ドリクはすでに人を対象にした活動も行っていたが、実現への手段について学ぶ場が必要であった。この地域には、写真を学べる信頼のおける高等教育機関が存在しなかったので、それを作られなければならなかったのだ。
 1998年12月に開催されたワールド・プレス・フォトのセミナーの機会を利用し、この学校が設立された。当時利用できたのは教室がひとつだけだった。ゲスト講師のChris Boot(以前はマグナムに参加し、その後はフェイドンに移る)とReza Deghati(ナショナルジオグラフィック)がワークショップを行った。
 その後、私は唯一の講師として学校を続けていたが、友人が薦めてくれた英国の写真家Kirsten Claire がすぐにやって来て1 年間手伝ってくれた。私たちは、彼女に地元レベルの給料を払うのが精一杯だった。当時は、彼女と私の2 人が常勤の講師であった。
 私たちの無理矢理の頼みを快く聞き入れてくれた友人たちが、講師として入れ代わり立ち代わり来てくれた。その中には、飛行機代と質素な宿泊先をこちらが用意したこともあったが、自腹で来た人や、学校で寝泊まりしていた人もいた。また中にはIan Berry のように、仕事で来ていたのに私たちの誘いに乗って活動に巻き込まれてしまった人もいた。写真についてはほとんどが初心者の生徒たちは、目の前にいるのがどれほど有名な写真家たちなのかを分かっていなかった。確かにそれはすごい面々であった。Abbas、John Vink、Ian Berry、Martin Parr、Morten Krogvold、Pablo Bartholomew、Pedro Meyer、Raghu Rai、Reza Deghati、Robert Pledge、Trent Parke などが参加してくれて、何度も来てくれた人もいた。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

17 写真が変わった、そして世界も変わるだろう(NI p13の翻訳)

19 フォトエッセー: 現実に向き合う人々と日常と(NI p14-15の翻訳)

22 フォトエッセー:つらさを乗り越えて(NI p16-17の翻訳)

26 フォトエッセー:消えゆく暮らしと新たな渇望(NI p18-19の翻訳)

30 コンタクトポインツ
今月のトピックをもっと深く知りたい、何か行動したいという人のための日本の情報源。

32 世界の国のプロフィール ― カンボジア(NI p36の翻訳)

36 世界のニュース(NI p25-28からの翻訳)
●無礼なもてなしをするイラン政府(人権)
●ビッグバッドワールド(風刺漫画)


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