2007年4月号


私たちのコットンができる現場から
Cotton - The peril and promise

 

この魔法の作物は、かつては南の国々を貧困から救い出すであろう「白い金 white gold」と考えられていた。しかし、Tシャツやジーパン等の原料となる綿は、栽培される畑から生産される搾取工場(スウェットショップ)にいたるまで、さまざまな問題が山積している。今月のNIでは、綿の供給ルートをたどり、搾取と悲劇がからみあうコットン産業の現状を探る。綿作農民の自殺が多発して問題となっているインドの現場からは、あまり知られていない悲劇だけでなく、コットン産業立て直しに向かう人々の決意についても報告する。そして、綿の魅力的な歴史、競争が続く現状、オーガニックからフェアトレードなど、危うくも光明がのぞく未来についても取り上げる。

 

この号のご注文はこちらから→      セット(英語版&日本語版)    英語版    日本語版


● NI No.399 目次 ●


(本文は英語です)


*<NIJ>の表示がある記事は、NIジャパンに翻訳が掲載されています。


2 コットンを作る人とその歴史 <NIJ>
  Cotton: peril and promise

農民が育てた綿は、長い過程を経てコットン製品となり、一般消費者の手に渡る。この歴史ある繊維に、今何が起こっているのか。

4 繊維の未来
 Whatever happened to cotton?

人間に最も身近な綿という繊維は、将来にわたってその人間との関係を保ち続けるのだろうか。2035年の未来から振り返る。

7 綿作農民の自殺が止まらない理由 <NIJ>
   Death by cotton
インドのマハラシュトラ州東部にかかる綿花ベルトと呼ばれる綿作地帯では、農民の自殺が後を絶たない。地域によっては1日3人のペースで自ら命を絶つ。農民を自殺に追い込む事情とは何か。

10 オーガニックコットンの限界 <NIJ>
 Organic and beyond
インドの綿作農民たちの窮状に対しては、現地の事情を考慮した適切な対応が必要とされている。NGOなどが進めている有機栽培への転換もそのひとつと考えられているが、それだけでは十分ではないようだ。

12 コットン ― その事実 <NIJ>
 Cotton ― THE FACTS
綿の生産と輸出、貿易の状況、市場価格の推移、栽培に使われる農薬、繊維産業の現状などをデータとグラフで示す。

14 インド織物産業の現実
 Powerloom prison
かつてはインド最大の織物産業を擁していたムンバイでもアウトソーシング(外注化)が進み、現在ムンバイで稼働している織物工場は皆無である。ムンバイの労働者たち、そして織物工場はどこへ行ってしまったのか。産業の現状と労働者の窮状を報告する。

16 綿以外の天然繊維 <NIJ>
 Natural alternatives
世界ではさまざまな植物の繊維が古くから利用され、現在も国によっては盛んに使われている。最近再び注目を集めている古くて新しい植物繊維について。

17 小規模農家と大規模農家
 Big cotton, little cotton
米国の機械化された大規模な綿作農家と、アフリカの労働集約的な綿作農家の違いとは。

18 コットン − 小史
 Cotton - a history
綿は、少なくとも紀元前2300年の昔から人間の生活に役立ってきた。かつてはヨーロッパ人たちのあこがれの的であった繊維も、植民地との貿易や産業革命を経て広く普及するようになり、現在では繊維産業も北の国から南の国へシフトして、より一層の高品質と低コストという過酷な要求を突き付けられている。

20 消費者ではなく市民として〜スウェットショップの搾取をなくすには
 Sweat, fire and ethics
<ウェブサイトに掲載中>
劣悪な環境と条件で労働者を働かせる搾取工場(スウェットショップ)。そのような場所で生産された衣料品を選ばないようにするにはどうしたらいいのか。そして、そのような工場をなくすために私たちには何ができるのか。
   この記事を読む

21 世界のニュース <NIJに一部掲載>
世界社会フォーラム2007報告

25 ワールドビーターズ
一卵性双生児の双子であるポーランドのヤロスワフ・カチンスキ首相とレフ・カチンスキ大統領。彼らが繰り広げる保守的な政治とは。

26 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

28 南の国からの一コマ
南アフリカの貧困削減プロジェクトからのイメージ。忍耐を要する仕事と困難な生活にもかかわらず、エレガントで気高い女性たち。

29 ラゴスで考える
ナイジェリアの旧首都ラゴスは、活気に満ちているがひどい交通渋滞に悩まされ混沌とした社会状況に支配されている。新しい首都アブジャは、交通渋滞やカオスとは無縁だが、あまりにも整然としてうら寂しい状況に置かれている。どちらの都市にも改善の余地がある、とアイケ・オグインは述べる。

30 エッセー:自由という高みへ
自由を求める抵抗者たちは世界各地の山岳地帯で蜂起してきた。山岳地帯という野生は、彼らに残された唯一のより所だった。そしてまた、自由を求めるということはたぶんに普遍的で政治的であるが、それは非常に個人的な要求でもある。自由とは一体何なのか。

32 ビッグバッドワールド(風刺漫画)
ファッションを楽しむ権利も奪われた女性たち。

33 社会を揺さぶる人々<メルマガで配信>
ハワイ先住民の言語と人権を擁護するために活動するハウナニ=ケイ・トラスクのインタビュー。
*メールマガジンの登録はこちらから

34 読者の声

36 世界の国のプロフィール ― ニカラグア<NIJ>

 

ページトップへ

NIジャパン No.87目次

(本文は日本語です)

 

 

1 イントロダクション ― ローカルでグローバルな綿の事情

2 コットンを作る人とその歴史 (NI p2-3の翻訳)

 コットンで金をもうけたいと思ったら、綿そのものを扱うような仕事からはできるだけ離れたほうがいい。歴史を振り返ってみても、誰もがそうやってきた。
 米国南部には大規模な綿作農家があるが、綿花の収穫を待ちながら農場主が暮らしているのは、ニューオリンズ旧市街や、港湾都市ナチズに流れるミシシッピー川を望む豪華な邸宅などである。蛇や虫がうようよする綿畑は、彼らがいる場所ではなく、奴隷や外国人労働者が働くための場所なのである。
 同様に、英国の東インド会社の株主たちは、手織りの織物を最初に作ったインドの村には近づこうとはしなかった。だがその織物はヨーロッパで大流行し、その後に原綿が輸入され、当時できたばかりだったランカシャー[訳注:織物工業が盛んなことで有名な英国の都市]の繊維産業に活気をもたらした。

<中略>

 「綿そのもの」と、綿のビジネスで利益を上げている人々との距離は、現在はむしろ広がっている。国際市場で投機を行う「先物市場」のトレーダーにすれば、綿とはおおよそ金もうけの手段なのである。
 米国の大規模栽培を支配する企業化された農家は、理論上は現在も「農作業」を行っているが、人間と綿花を結び付けているのは大型機械とハイテクな生産方法である。進んだ農業では、飛行機から綿畑の状態を電子機器で探査し、それぞれの綿の木の必要性に応じて肥料・殺虫剤・成長ホルモンの配合を行い、その混合物がコンピュータ内蔵の農業機械でそれぞれの木に運ばれる。
 一見良いシステムのようにも感じるが、米国農務省の補助金なしではとても高くつき、アフリカやインドの小規模な綿農家との競争は非常に厳しくなる。
 私たちにコットン製品を売りつける「ブランド」企業は、遠く離れた下請け工場(そのほとんどが中国、バングラデシュ、インドといった国々)で商品をつくらせている。そこでは低賃金で、おまけに労働基準もほとんどないような状態で労働者が働いているが、ブランド企業は海外の外注先の状況に対して何らかの取り組みを行うことはほとんどない。このような劣悪な条件にある悪魔の工場の経営者は、遠回しには「サプライヤー」と呼ばれている。しかし、中国の自由貿易区にある火災の多い「3階建て工場」(それぞれの階が倉庫、工場、従業員宿舎として使われている)で起きていることは、ウォルマート[訳注:米国に本社がある世界最大の小売企業]の顧客には思いもつかないことである。そう、ウォルマートのうたい文句は、「毎日安い」ということなのだから。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください


6 綿作農民の自殺が止まらない理由 (NI p7-9の翻訳)

 夕方5時にラビンダー・キサン・ピワーの弟がいつも通り電動ポンプのスイッチを入れに戻ってきた。電力供給が不安定なこのマハラシュトラ州東部のチャルバルディ村でも、この時間帯は比較的電気があてにできる。しかしその弟がそこで発見したのは、体をくの字に曲げて腹部を抑えながら吐いている23歳のラビンダーの姿であった。彼は、殺虫剤を致死量を超えて飲んでいた。その殺虫剤は、彼の祖父母と弟と2人の妹の生活も支えていた家族所有の4ヘクタールの綿畑に使用するものだった。
 ラビンダーは、誰に聞いても陽気な男だった。チャルバルディ村の裏通りにある彼らの荒れ果てた家の前で話した時、少なくとも彼の祖父もそう考えていた。ビダルバ綿花ベルトにある11の地区のひとつに住むラビンダーは、自分の小さな家族に対して逆風となる経済の先行きを心配していた。しかし、このような衝撃的な行動に出るような兆候は全く見られなかった。家族は私と話をしている間も、彼がこのような結末を選んだ理由を知る手がかりを探していた。井戸が壊れたからか、異例の集中豪雨で綿の木の半分近くがダメになってしまったからか、結婚の見通しへの心配からか……。
 しかし、より大きな背景もまた重要である。彼は、毎日近くの綿市場の横を通り、その門が閉じられていることを見ていた。門が開いているときでも、綿は売られていないか、売られていたとしても栽培コスト以下の値段しかついておらず、政府が決めた最低価格さえも下回っていた。例年よりはるかに少ない彼の収穫を売ったとしても、農薬とBTコットン(*)のタネの購入で背負い込んだ借金の返済ができるはずもなかった。そして結局は、収穫された綿花は家の中に積み上げられたままで、彼はそれを市場に持ち込もうとさえしなかった。ラビンダーの祖父の顔には悲しみが刻み込まれ、ぽつりと「私は腕をもがれたような気がする」と言った。会話の中には出てこなかったが、今回の悲劇によってこの威厳を保っている老人に突き付けられる問題が、「残された5人はどうやって生活していけばいいのか」ということである。
 ラビンダーはこの結末を自分自身で決めたが、そんな結末を選んだのは彼だけではない。この村ではほかにも2人の農民が自殺したが、ビダルバ綿花ベルトでは、過去数年間で数千人の綿作農民が自殺している。ここでは、個人的な自殺という行動が社会的な現象になっているのだ。「社会現象」となった自殺は、インドの農村部に混乱をもたらしている。グローバルな作物価格との競争に、農民たちがより一層巻き込まれるようになり、ハイテクのタネや農薬などを使用するために借金を強いられ、絶望を感じ始めている。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

13 オーガニックコットンの限界 (NI p10-11,16からの翻訳)

18 綿以外の天然繊維 (NI p16からの翻訳)

20 コットン― その事実 (NI p12-13の翻訳)

26 【日本発のリポート Reporting from Japan】
日本の綿、ガンジー、そして私たちの自立  by ケイト・ストロネル(NIジャパン)
Japanese native cotton, Gandhi and You  by Caitlin Stronell (NI Japan)
和綿の糸紡ぎワークショップに参加した本誌ケイト・ストロネルが感じた、自給と自立のスピリットとは。

34 コンタクトポインツ
今月のトピックをもっと深く知りたい、何か行動したいという人のための日本の情報源。

36 世界の国のプロフィール ― ニカラグア (NI p36の翻訳)

40 世界のニュース  (NI p22-24からの翻訳)
●世界社会フォーラム2007報告(一部抜粋)
●ビッグバッドワールド(風刺漫画)

NIジャパン目次トップへ

 

 

 

 

 



●本誌のご注文はこちら
 ●バックナンバーリストへ