2005年7月号   
カースト〜いまだにはびこる身分差別
Caste - the hidden apartheid

 

 インドのリーラべンは、糞を入れたかごを頭に載せて運ぶ作業に彼女の一生を捧げてきた。欧米では、結婚相手がどの社会身分に属するかをいまだに気にする人々がいる。日本では、部落の人に対する憎しみをあおるためにインターネットが使用されている。
 これらは、社会の「下層」または「不可触民」という身分階層に生まれた2億5千万の人々が直面する数えきれないほどの差別の一部である。
 今日、このような境偶に置かれているアジアの人々の多くが、自分たちのことをダリットと呼んでいる。ダリットとは、「壊された人々」という意味であるが、彼らを抑圧する体制への積極的な抵抗の象徴ともなっている。彼らの心の支えは、インドの憲法を起草したダリット出身のアンベ−ドカル博士だ。彼は次のように述べている。「私たちの闘いは、富や権力を手にするためのものではない。それは、人間としての人格を再生するための闘いなのだ」。だが恥ずかしいことに、その闘いは21世紀に入ってもなお続いている。

 


● NI No.380 目次 ●


(本文は英語です)

2 読者からの手紙

4 南からの写真
今年の4月24日、アルメニア人大虐殺から90年を迎えた首都エレバンで行われた集会での1枚。
by Onnik Krikorian

5 南の視点
サッカーについて思うこと。
by Eduardo Galeano

6 世界のニュース
軍の弾圧が強まる西パプア/市民の抗議活動が続くアルゼンチン/Windowsを使わないというブラジルの選択/他

9 カースト制度に立ち向かう
カーストという大昔の抑圧手段が、いまだにはびこっている。その抑圧の現状と、人間としての尊厳を勝ち取ろうと闘う人々の活動について。
by Mari Marcel Thekaekara

13 カースト制度とは
世界で最も古い社会的階層の基礎知識。

14 まとわりつくカーストの意識
西洋社会へ行ってもカーストは無関係ではなく、母国と同じような階層化や差別が見られる。
by Nikki van der Gaag

16 KR・ナラヤナン元大統領のインタビュー
ダリット出身で唯一インドの大統領に就いたナラヤナン氏に、彼がたどってきたダリットから大統領への道や、カーストの今後について聞いた。

18 身分による差別 ― その事実
  ⇒今月のOnline Reportを読む

20 バラモンとして
バラモンの作家が、バラモンとカーストについて語る。
by UR Ananthamurthy

22 マリアンマの屈辱
ダリットの女性作家バマの小説の抜粋。上位カーストの男による強姦から逃れたマリアンマが、被害者であるにもかかわらず村人や父親から非難されてしまう。
by Bama

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24 ネパールのダリットの現状
ダリットを、当然手を組む仲間と見るマオイストと、マオイストの支援者だと見る政府。もともとの厳しい差別に加え、今日新たな試練が生まれている。
by Sagar Bishwakarma

25 私の受けた結婚差別
日本の部落差別は、今日なお結婚の障害となっている。被差別部落の男性と結婚しようとした女性の苦渋の選択。

26 アフリカのカースト制度
家系や職業による差別は、アフリカにも存在する。殺人に発展することはまれだが、差別意識は社会に大きな影響をもたらしている。

28 アクションと書籍の紹介

29 ワールドビーターズ
NIは、ヨセフ・ラッツィンガー枢機卿(当時)が権力の座に就くことを2000年9月号で予想した。現在ローマ法ベネディクト16世となった彼の新しいプロフィールを見てみよう。

30 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

32 ビッグバッドワールド
Polyp編集のIMFおとぎ話シリーズから。

33 波風を立てろ
Refuseniksと呼ばれるイスラエルの兵役拒否者。彼らの思いを聞く。

34 エッセイ―命をかけたラクダレース
命を落とすこともあるアラブ首長国連邦のラクダレース。その騎手は、人身売買で海外から連れてこられる子どもたちだ。
by Daoud Khan

36 世界の国のプロフィール ―― ソマリア

 

 

 

● NI-Japan No.68 目次 ●

(本文は日本語と一部英語です)

 

    

1 カースト制度に立ち向かう(NI p9-12の翻訳)

「雨期には」と、その女性は語りはじめた。「とてもひどい状態になるの。糞に水が混じって、(頭に載せて)運ぼうとするとカゴからしたたって、服や体、顔にかかるの。家に戻っても食欲のわかない日も少なくないわ。服からも、髪からも、臭いがとれないのよ。でもそれが私たちの運命。子どもを養うためには、ほかにどうすることもできないわ」

ナラヤナンマは13歳で糞尿清掃をはじめ、いまでは35歳になった。清掃の際の悪臭といったら実に耐えがたいものだ。彼女はまず糞をかき集める。次に平たいブリキ片2枚を使って、集めた糞を竹製のカゴに入れ、トラクターの来る収集所まで運ぶ。手袋はないし、手を洗うための水もない。彼女はサリーをしっかりとたくしあげ、糞尿に触れないよう気をつける。しかし、一日中、服にも体にもうっかりつけてしまわないようにするのは不可能だ。

彼女は20年あまりこの仕事を続けているが、その仕事内容とは明らかに異なる尊厳にこだわってきた。その身なりは、無垢と言っても過言ではないほどきちんとしたものだ。油をつけてていねいになでつけられた髪は、ジャスミンの花で飾られている。

ナラヤナンマを含む80万人のトイレ清掃人は、インドのカースト制度の最下層に位置する人々だ。彼らは、他の誰からも忌み嫌われており、その一生を徹底的に排除されて暮らす。そんな彼らは、誰も見たくないと思っている「インドのもう一つの顔」なのだ。進歩し、ハイテクを有し、「核を保有しており、もはや第三世界ではない」とするインドの顔とは対照的なものだ。

    ・・・・・・ 続きはNI-Japan誌面でご覧ください

7 Reportimg from Japan
*日本とインドでの差別の現実〜そこから何を学び、何ができるのか
  反差別国際運動(IMADR)スタッフ 坂東希氏へのインタビュー

10 Contact Points
*反差別国際運動の紹介と部落問題関連書籍の紹介

11 Information
*次号のご案内、開発教育全国研究集会のご案内、編集後記など

12 世界の国のプロフィール − ソマリア(NI本誌p36の翻訳)

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