2005年6月号   
あるアフリカ移民看護師の物語
Out of Africa - A Migrant's story

 

 今月号では、看護師のナンシー・ワンビ・イトティア氏とともにケ二アを訪れる。彼女は、豊かな国々の病院や施設で働く300万人の南の国の医療従事者のひとりである。
 彼女は、なぜ故郷を出て海外で働こうと思ったのか、そしてそれが彼女と彼女の家族にどんな影響をもたらしたのか? また、彼女が送金している金は、貧困、失業、エイズに苦しめられるケニアの国にどう役立っているのか? また同時に、この国に必要とされる何千人という医療従事者の流出によって、この国がどんな影響を受けているのかについても深く考える。
 移民に関するほとんどの議論では、移民たちが豊かな国に来るという部分に関心が集中する。「移民の流入を許すべきだろうか」 「移民の滞在を許可するときの条件とは何か」 「移民受け入れ国が必要としている技能を、移民
は持っているのか」
 NIでは視点を変え、ナンシーが移民になるまで歩んできた道を逆にたどってサハラ以南のアフリカへ渡り、彼女の決意の核心にふれる。

この号のご注文画面へ

 


● NI No.379 目次 ●


(本文は英語です)

2 読者からの手紙

4 南からの写真
津波で孫を亡くした女性の悲しみ。
by Arindam Mukherjee (タミルナドゥ、インド)

5 南の視点
汚職の実態を暴くジャーナリストの「おとり」取材は許されるのか、それともごう慢なジャーナリストの行き過ぎた行動なのだろうか? インドで巻き起こる論争について。
by Urvashi Butalia

6 世界のニュース
ネパール国王の暴走/米国の綿花栽培の補助金の終わり?/ディズニー映画とカリブ海の歴史/他

9 祖国を離れて
ナンシー・ワボイ・イトティアは、英国の老人ホームで働くケニア人看護師である。家族を残してはるかかなたの異国へ彼女を向かわせたものは何だったのか。

12 再会の喜び
家族と再会したナンシー。彼女が背負う、家族の生活と人生をかいま見る。

14 里帰り旅行の地図とケニアの国情報

15 さまざまな困難に直面して
病院を訪れて思い知らされる、人材流失の問題と深刻さを増すアフリカの保健医療の現状。

18 保健医療と移民 ― その事実

20 民族の歴史
90歳になるナンシーの母親に会いに行き、彼女の人生を通してケニアの歴史を振り返る。

22 汚職
ケニアの汚職の現状と取り組み。

23 命の恩人
久しぶりに親類や知人と会って近況を聞くナンシー。その中には、彼女が英国で働いていたおかげで命が救われた親類もいた。

目次トップへ

24 私たちの社会を支える移民労働者
社会のいろいろな場所でそれぞれの役割を担う移民労働者。
 
今月のOnline Reportを読む

26 遅れた婚姻の儀式
結婚して子どももいるナンシーの息子。母親がようやく帰国し、延期されていた伝統にのっとった婚姻の儀式が行われた。

26 アクション

27 現状を変えるには
人材流失、人種差別、搾取、貧困、不公平、等々、世界の保健医療の現状を改善するためには何が必要なのか。

29 ワールドビーターズ
世界銀行、国連、ユニセフにネオコンを送り込むジョージ・W・ブッシュの大ばくち。

30 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

32 ビッグバッドワールド
企業が市民の抗議行動に思うこと:その598
by Polyp

33 波風を立てろ
ブラジルで森林伐採業者や農場経営者と闘うグリーンピース・アマゾンのDave Logieのインタビュー。

34 エッセイ―またたく間に広がる豊かさとその影響
豊かさと消費文化がもたらした伝統的な文化と価値観の死について。
by Jeremy Seabrook

36 世界の国のプロフィール ―― ベネズエラ

 

 

 

● NI-Japan No.67 目次 ●

(本文は日本語と一部英語です)

 

    

1 祖国を離れて(NI p9-11の翻訳)

 2001年7月11日、ロンドンのガトウィック空港。ナンシー・ワボイ・イトティアは、入国管理の審査を待つ長い列に並んでゆっくりと進む。その手にはケニアのパスポートが握られている。ここで重要なのは、パスポートに「看護学生」という身分で英国入国を許すビザがあることだ。
 「学生」というのも、助産や家族計画、地域保健、予防接種など、幅広い分野で20年以上の経験がある看護師にしてみれば奇妙な感じがする。しかも彼女は看護教師までしていたというのに。だが、英国で看護師として働くには、もう一度学生となって就労前に3カ月の「適応」研修コースを受けなければならない。
 このような境遇の人は多い。ナンシーは、より豊かな国が開発途上国から採用した300万人の医療従事者のうちの1人なのである。彼女のような人たちがいなければ、ヨーロッパや北米、オーストラリアやニュージーランドなどの病院や老人ホームは、人手不足で閉鎖に追い込まれるだろう。
 今日、フランス在住のベニン人医師の数は、ベニン国内の医師の数より多い。ワシントンDCには、エチオピア全国の医師の数を上回るエチオピア人の医師が住む。(1) 英国の医療機関で働く看護師の約40%と、医師の30%以上は、海外で教育を受けている。こうした傾向は他の多くの国でも見られる。(2)

    ・・・・・・ 続きはNI-Japan誌面でご覧ください

3 さまざまな困難に直面して(NI p15-17の翻訳)

以前勤めていた病院を訪れたナンシーを待っていたのは、予想以上の変化だった。

 「ここよ!」 ナンシーは言った。「やっと着いたわ!」
 まるで歯磨き粉になって絞り出されるような気分を感じながら、乗合いミニバス、マタトゥからようやく降りられた。時間を惜しむマタトゥは、私たちを残してすぐに走り去った。
 ナイロビのコンクリートの町並みとうって変わり、ここにはなだらかな起伏を見せる緑の丘が広がる。ナンシーは、1994年までの8年間をこの職場で過ごした。
 私たちはティゴニ地域病院の門をくぐって中に入った。「よく看護学生を連れてきて、村落部の病院の実情を見学させました」と彼女は説明する。
 丘の中腹にあるこの病院は、白い建物と木立や草花があり、落ち着いて快適な雰囲気に包まれている。
    ・・・・・・ 続きはNI-Japan誌面でご覧ください

6 保健医療と移民 ― その事実(NI p18-19の翻訳+α)

『保健医療制度が直面する最も重大な問題は、このシステムを動かしていく人材の不足だ』
WHO(世界保健機関)、世界保健報告書2003

 1.医療従事者たちはどこにいるのか?
米国の看護師は人口10万人あたり773人だが、ウガンダはたった6人で対処している。(1) WHOの最低基準では、人口10万人につき看護師100人、医師20人となっている。

 2. 世界的な人手不足
・米国では10万人の看護師が不足している。(2) 2010年には、高齢化する人口の需要に対応するため、さらに100万人の看護師が必要となるだろう。(3)
・2003年にマラウイで募集した看護職のうち、実際に雇用できたのはその28%にすぎなかった。(4)

    ・・・・・・ 続きはNI-Japan誌面でご覧ください

7 Reportimg from Japan
日本の中の移住労働者  by 遊佐春奈

10 Contact Points
*在日外国人が抱える問題の解決やその支援を行っている団体の紹介

11 Information
*次号のご案内、No-Nonsense Guide日本版発売のお知らせ、編集後記など

12 世界の国のプロフィール − ベネズエラ(NI本誌p36の翻訳)

目次トップへ

 



●本誌のご注文はこちら
  ●バックナンバーリストへ