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障がい者支援の優先順位は総じて低いが、特にマジョリティー・ワールド(世界の過半数の人々が暮らす南の国々のこと)においてこの傾向が著しい。障がい者の現状が把握できるような正確なデータは存在しない。国連などの国際機関は、このような状況の改善を目指している。
<実態把握の難しさ>
●世界保健機関(WHO)の試算によれば、どの国でも人口の1割程度は何らかの障がいを持つ人々である。
●貧困や極端な偏見が重大な結果を招くマジョリティー・ワールドでは、この割合はもっと低い傾向にある。
●世界の障がい者の大多数、75%以上もの人々がマジョリティー・ワールドで暮らしている。(1)
<子どもたちの状況>
●子どもの死亡率が低い国であっても、障がいを持つ子どもに限れば死亡率は80%近くにもなる。(1)
●障がい児の98%は学校に通っていない。また別の見方をすれば、学校に通っていない1億1,500万人の子どものうち、4千万人が障がいを持つ子どもである。(4)
●ビタミンA欠乏症により、毎年50万人の子どもが視覚障がいを負っている。
●母親が十分にヨウ素を摂取していなかったことが原因で、4,100万人の乳幼児が精神的な障がいの危険にさらされている。(4)
<貧困のわな>
障がい者が貧困層に占める割合は非常に高い。世界銀行は、世界の最貧層に属する人々の20%が障がい者であると推測している。
●貧困と障がいには直接的な関係がある。障がいの50%は予防可能なものでなおかつ貧困に起因し、20%は栄養失調が原因である。(1)
障がいの原因
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栄養不良
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20%
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事故/トラウマ/戦争
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16%
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感染症
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11%
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先天性疾患
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20%
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感染症以外の病気
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20%
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その他(老化も含む)
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13%
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●WHOによれば、マジョリティー・ワールドの視覚障がい児の約7割と聴覚障がい児の約5割近くは、障がいを予防できたか、または治療可能な子どもたちである。(2)
障がい者とその家族は、支援制度の不備や雇用拒否にあって仕事を得られず、より一層貧しい生活へと追い込まれていく。
●ケニアでは、16万人の視覚障がい者のうち、雇用されているのはたったの2%である。(3)
<女性と少女>
障がいのある女子の通学率は、障がいのある男子よりも低い。(2)
●障がいのない女性よりも障がいのある女性の方が、身体的あるいは性的虐待を受ける可能性が2〜3倍高い。(2)
●インドのオリッサ州で実施されたある調査では、障がいのある女性(未成年の少女も含む)は誰もが家庭内で殴られた経験を持ち、知的障がいのある女性の25%が強姦の被害にあい、障がいのある女性の6%が強制的に不妊処置を施されていたという結果が出た。(1)
●妊娠や出産の影響で、毎年2千万人の女性が障がい者となっている。(1) その大多数は南の国の人々である。豊かな国では、年間妊産婦死亡率は1%に過ぎない。(7)
●女性性器切除が原因で、1億人を超えるアフリカの女性(未成年の少女も含む)が、何らかの障がいを負っている。(2)
<保健医療の格差>
保健医療費の不足は、障がい者支援に打撃となる。
年間の1人当たり保健医療費支出(2002年、単位はドル)(7)
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国名
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支出合計額
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政府負担額
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北朝鮮
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0.3
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0.2
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ブルンジ
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3
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1
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イラク
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11
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2
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アフガニスタン
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14
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6
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スーダン
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19
|
4
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インドネシア
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26
|
9
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カンボジア
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32
|
5
|
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ウクライナ
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40
|
29
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エジプト
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59
|
21
|
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中国
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63
|
21
|
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ペルー
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93
|
47
|
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ジャマイカ
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180
|
103
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キューバ
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197
|
171
|
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南アフリカ
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206
|
84
|
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ニュージーランド/アオテアロア
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1255
|
978
|
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オーストラリア
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1995
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1354
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英国
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2031
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1693
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カナダ
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2222
|
1552
|
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アイルランド
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2255
|
1695
|
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日本
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2476
|
2022
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米国
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5274
|
2368
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10万人当たりの精神科医の数(8)
●てんかん患者5千万人のうち、80%以上がマジョリティー・ワールドに住んでいる。その治療費は、1人当たり年間5ドル程度であるが、アフリカのてんかん患者の80%以上は治療をまったく受けていない。(8)
●協調して努力すれば、大きな変化をもたらすことができる。例えば、ポリオの発生件数は1988年に35万件(2)だったが、国際社会はこの年にポリオ撲滅に取り組み、2004年にはわずか1,255件にまで減少した。(9)
<明らかなケアの不足>
●マジョリティー・ワールドでは、たった2%の障がい者しか基本的なサービスやリハビリを受けていない。(2)
●80%の障がい者は、地域コミュニティーから受けるケアで間に合わせており、専門家にケアを依頼している人はたった20%である。(2)
●車いすが必要であるにもかかわらず持っていない人々が世界には2千万人いる。(5) さらに、それよりも多くの人々が、不適切あるいは使い古された器具の使用を余儀なくされている。
●マジョリティー・ワールドの視聴覚障がい者の中で、適切な支援を受けている人は0.1%以下である。(6)
こうしたデータでさえも将来の状況をきちんと表しているとは思えないが、WHOは、日々の介護を必要とする人々の劇的な増加を予測する。
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国名/地域
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介護を毎日必要とする人の増加率予測
(2000年を基準として2050年時点での増加率)(1)
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中国
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70%
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インド
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120%
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サハラ以南のアフリカ
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257%
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ブルキナファソ、コンゴ民主共和国、リベリア、ニジェール、ソマリア、パレスチナ、ウガンダ
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400%を超える
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訳:松並 敦子
Sources:
1 Philippa Thomas, Disability, Poverty and the Millennium
Development Goals, DFID, June 2005.
2 DFID, Disability, Poverty and Development, February
2000.
3 Arne Fritzson and Samuel Kabue, Interpreting Disability,
WCC Publications, Geneva, 2004.
4 UNESCO, www.unesco.org/education/efa/know_sharing
/flagship_initiatives/disability_last_version.shtml
5 Motivation, www.motivation.org.uk/_history/index.html
6 Sense International, www.senseinternational.org
7 World Health Organization, World Health Report 2005,
WHO, 2005.
8 World Health Organization, World Health Report 2001,
WHO, 2001.
9 UNICEF, Progress for Children, No 3, September 2005.
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